日本の黒幕?国家予算の5倍を管理する“長い名前の信託銀行”とは
なぜ500兆円ものお金を運用できるのか?
日本マスタートラスト信託銀行の預かり資産が500兆円を超えていると話題になりました。しかし、これは自ら運用しているわけではないのです。有価証券の売買の指示は年金基金や投資信託、資産運用会社から出されます。
日本マスタートラスト信託銀行は、その指示に基づき有価証券の売買を実現(執行)しているのです。そして、ある企業の株主名簿に日本マスタートラスト信託銀行と記載があっても、どの年金基金や投資信託なのかまではわかりません。
ただし、日本の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用委託先を公開しており、資産運用会社名とともにどのファンドの資産を管理するかが記載されています。その資料によると、日本マスタートラスト信託銀行の名前が随所に出てきます。したがって、公的年金の多くは日本マスタートラスト信託銀行により管理されていることがわかります。
国家予算の5倍近い資産を管理
日本マスタートラスト信託銀行は管理資産を増やしています。年金積立金管理運用独立行政法人の運用資産額200兆円の他、ETF(上場投資信託)の7割、投資信託など、さまざまな運用団体の資金を預かっており、日本の国家予算の5倍近い500兆円を超える資産を管理しています。
2022年3月期の決算では、売上が対前年比8.5%増、当期純利益は同35.9%増となり、増収増益となっています。管理資産については121兆円増加となり、国家予算を超える管理資産増となっています。
もはや日本の資産運用業界において欠かせない存在の日本マスタートラスト信託銀行ですが、資産を預ける側からすると資産管理の安全性が増します。
たとえば、運用会社が自ら資産管理業務を行っていた場合、運用指図どおりに有価証券を売買したり、正しく資産を管理しているか、外部から監視することができません。場合によっては資産を費消してしまう、といった事態も想定されます。