店員に“投げ銭”できる居酒屋。「100ポイント=10円」でも好評なワケは
従業員に本音を聞いてみた
ところで従業員の心境はどうなのか。オススメの日本酒は「紀土」という新宿総本店で働く内村拓未さんに投げ銭制度について聞いた。
「第一印象としてはまず面白いと感じました。チップのように現金をそのまま渡すことには少し抵抗がありますが、ポイントにしたことは日本にマッチしていると感じました。また、普段は決められた給与以上はもらえませんが、自分自身の力で報酬に変えられることができます。やりがいやモチベーションに繋がりますので、もっと日本に浸透してほしいです」
また、投げ銭導入後、自身の接客態度の変化として、「自分の接客がダイレクトに評価されるため、より喜んでもらえる接客を意識するようになりました。また、『どうすればもっと評価してもらるのか』を考えるようになり、お酒の勉強をしたり接客を見直したりなど取り組んでいます」と回答。
ゲーム的な視点でも一緒に楽しんで
田村氏の狙い通り、接客の質が向上しており、その結果として喜んでもらえる利用者も増えたのではないか。
「日本ではなかったチャレンジですので、お客様には日本酒の味はもちろん、投げ銭制度自体を楽しんでほしいです。また、推しのスタッフの成長やランキング争いなど、ゲーム的な視点でも一緒に楽しんでいただければと思います」と、田村氏は最後に話してくれた。
単なる「客と従業員」から一歩も二歩も進んだ関係性を築くことができるこの制度。互いの周知が進めば、ただチェーン店に飲みに行くのではなく、「友人に会いに行く」感覚にもなれそうだ。従業員不足に悩む飲食業界にとっても注目の取り組みの今後に期待したい。
<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>