ドコモショップが「大量閉店」に。販売代理店からの“うま味”も消滅か
2022年5月19日、NTTドコモが全国の「ドコモショップ」を、2022年度に大量閉店させるという報道が相次ぎました。親会社であるNTTがドコモの全株を取得して上場廃止にしたのが2020年12月。早くもモバイル事業の合理化を進めています。
キャリアショップを大幅に削減する理由は、3つあると考えられます。1つ目は、携帯電話の販売台数が減少していること。2つ目は、販売代理店の“アラ”が目立って総務省に目をつけられていること。3つ目はドコモが法人向けの事業や決済など、新領域に経営資源を集中していることです。
携帯電話の販売台数は市場に合わせて縮小傾向
移動体通信の調査会社MCAによると、「ドコモショップ」の店舗数は2019年2月からおよそ2300店舗前後で推移しています。
店舗数に大きな変化はありません。しかし、ドコモの携帯電話の販売台数は2016年度を境に減少しました。毎年およそ4%のペースで減っています。
キャリアショップは高齢者の駆け込み寺に
楽天モバイルやその他の格安携帯電話サービスが登場して、モバイルの競争が激化したこともありますが、そもそも国内の携帯電話の出荷数は減少に転じています。出荷台数の過去最高は2007年度の5076万台。2011年度からはわずかな増減を繰り返しながらも下降線をたどっています。
しかもドコモはシェアを落としています。2009年度は国内のシェア50.0%を獲得していましたが、2020年度は43.8%まで下がりました(自社調査発表)。全国の「ドコモショップ」は一定で推移していたにもかかわらず、携帯電話の販売数は市場動向に抗えず落ち込み、シェアも落としている。
それであれば、キャリアショップを削減するという判断になるのも当然。ドコモは省スペースで運営可能な販売特化型の店舗を増加させるとしており、より合理的な意思決定を推し進めています。
キャリアショップは、最新機種に使い慣れない高齢者の駆け込み寺のような存在になっていました。ドコモの2020年度の解約率は0.48%。2017年度の0.65%から下がりました。店舗削減によって解約率が大幅に上昇することがあれば、カスタマーサポートを手厚くする新たな手を打つ必要がありそうです。