「ゲーム=悪」なのか。元“ゲーム漬け”だった医師らが語る、誤解と真実
サポートする側の健康にも目を向けよう
中藤:大人でも「明日から筋トレしましょう」「ダイエットをしましょう」って言われてもできなかったりしますよね。ゲーム依存の子と付き合っていくのは、すごく難しいことなんだと思います。
阿部:サポートする側の健康も大事です。病気が長期化すると、サポートする側も心身共に疲れてきます。例えば、サポートする側の家族が医療機関を受診して、健康を維持することも重要です。
竹谷:依存の先が本で「夏目漱石全部読んでます」なら、それはOKみたいな空気はありますよね。だけど「YouTubeを片っ端から見ます」となると「それは……」となる。その差って、学びがありそうか、そうではないかですよね。でも学ぶかどうかは、その人次第ではないでしょうか。
阿部:うちは親がけっこう厳しくて、ゲームは1日30分までというルールがありました。30分で全部クリアするためには上手くならないといけないから、逆にいろいろ考えるようになりました(笑)。一方、その抑圧の反動で大人になってのめり込んだようにも思います。
ゲームを制限するのにはデメリットも
竹谷:ゲームを制限するのにはメリットもデメリットもあるということでしょうか。ゲーム実況を見ていると言葉遣いが悪くなるという声も聞きます。
阿部:面白い実況者の言葉遣いを、子どもが真似するのは当然です。しかし人を攻撃するようなことを言ってはいけないとか、言葉遣い含め、なにがいけないのかを事前にしっかり教えておくことが大事だと思います。
中藤:子どもが依存かもしれないと思ったら、どこに相談すればいいのでしょうか?
阿部:ゲーム依存が疑われる子はかなり多いと予想されますが、ゲーム依存症を扱っている病院はほとんどないので、相談できる窓口はかなり限られているのが現状です。まずはご家族の方が本人に話を聞いてみて、何が問題かを把握していくのがスタートになります。それでも困ったときには、私たちのように困った方の声を聞くことができる医療者の存在もあるので、お声かけいただきたいと考えています。Twitterやホームページからご相談いただくことも可能です。
<取材・文/ブラインドライターズ 和久井香菜子>
【株式会社DEPORTAR 竹谷彰人】
中四国と東京を拠点にするeスポーツ事業会社。「あらゆる手段を通じ、万人に開かれた文化としてのeスポーツをつくる。」というミッションのもと、大会の企画運営のみならず、多角的にeスポーツに携わっていければと事業を開始しました。
DEPORTAR HP
【一般社団法人Dr.GAMES 阿部智史】
ゲーム×医療の領域で活動している医師・看護師・薬剤師・ゲームクリエイターの集団。eスポーツ大会の救護を行ったり、ゲーム依存で悩んでいる方の相談に乗ったり、自作ゲームを通じて正しい医療知識を伝えたりしています。ゲームが大好きな医療者の集団であり、ゲームと医療の掛け合わせによって、皆様の健康に寄与します。
Dr.GAMES HP/Twitter:@_dr_games
【無花果もえぎ フリースクール岡山 中藤寛人】
フリースクールもえぎは、他の何よりもあなたの感情を大切にし、あなたが「今」、そして「未来」にしたいことをゆっくりと見つけ、それを一緒に実現させていく居場所です。生徒は随時募集中。相談無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
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