広瀬すずが語る「何をしても涙が出てきてしまった」難しい役どころへの挑戦
「2020年本屋大賞」を受賞した、凪良ゆうさんのベストセラー小説を映画化した『流浪の月』が公開中。世間を騒がせた誘拐事件の被害女児・更紗(広瀬すず)と加害者・文(松坂桃李)が、15年後に思わぬ再会を果たしたことから動き出す物語です。
映画『悪人』『怒り』で知られる李相日監督のもと、松坂さんとW主演を務め、難役・更紗を演じきった広瀬すずさん(23)を直撃。更紗と自分が繋がらずモヤモヤが続いたことや、20代に入って「頭で考えようとしてしまう」葛藤を、包み隠さず明かしてくれました。
また呼んでもらえたのは意外だった
――李監督とは『怒り』(’16)に続いてのお仕事ですね。
広瀬すず(以下、広瀬):李監督の映画がすごく好きで、前作では自分でオーディションを受けに行きました。自分がその役を演じることに意味があると思わせてくれる監督です。『怒り』のときは、自分ができることは全部出しましたし、あれ以上のことはできませんでした。
それを受け入れてもらえたのかは分かりませんが今回、お話をいただいて、「あ、忘れられていなかったんだ」と、私としては意外で驚きでした。更紗と文のふたりの物語に呼んでいただけて、すごく嬉しかったです。
手触りが何もない感じが続いていた
――更紗も、非常に難しい役だったと思います。
広瀬:今回、すごくふわふわしていて、手触りが何もない感じがずっと続いていました。他人からもらうお芝居とか感情なら行くとこまで行けるんですけど、自分で言葉を発信したり行動したりするときの、感情と動きが繋がらなくて。
更紗としてはどんどん言いたかったことが言えるようになって、思いが繋がって強くなっていくのに、私自身はガッツリ堕ちてしまって、何をしていても涙が出てきてしまったりしていました。
ずっとモヤモヤしていて、こんなにも変に頭を使って理解しようとしていたのは初めての経験でした。監督からも「頭で考えても分からない。感じないと意味ないよ」と言われて、私もその通りだと思っていたんですけど。それで、成長した更紗が(かつての更紗が文と最後に過ごした場所である)湖に入るシーンなどを追加してくださったんです。