“元芸人”マンボウやしろが語る、今のお笑い「若い子は洗練されている」
選択肢を持ったうえで、選ぶほうが面白い
――単に面倒くさそうですけど、考えの選択肢が増えたと思えばいいと。
やしろ:実際そうですよね。たとえば2年後にはコロナが収束して元の世界に戻るというひとつの考えに凝り固まるより、2年後にはもっとひどい世界になっているという両方の考えを持って生活していたほうが楽でしょう。
さらにいえば10通りの可能性を10%ずつ持って生きていたほうがいいと僕は思います。コロナに限らず、仕事のやりかたとか、どこで暮らすかとか、すべてに偏る必要はないと思います。そういう選択肢を持ったうえで、選ぶほうが面白いんじゃないかな。
発売日当日に陽性が判明して
――『あの頃な』の発売日の2月15日に、くしくもやしろさん自身の陽性が判明しました。
やしろ:はい。決まっていた取材やラジオなんかも、すべてキャンセルさせてもらいましたし、本当に申し訳ない気持ちがめちゃくちゃありました。
――ただ、ものすごく不謹慎ではありますが、コロナをテーマにした本ということもあって、陽性になったこと自体がニュースになり、宣伝にひと役買ったのも事実です。
やしろ:本当にご迷惑をかけたという思いの隅に、石をひっくり返すと、「コロナ本の発売日に陽性か」という、ちっちゃな虫みたいなのがいたのも事実です。ただですね、出版社の担当の方も陽性になったのですが、やっぱりカルマというか、バチが当たるとかあるのかなとも思いました。
こういうものをまだエンタメとして作品にしていい時期じゃないんだよという、モラルの問題ですよね。大変な思いをされている方がたくさんいるわけですし。ただ僕は、コロナ禍に出さないと意味がないと思っていたので。まあバチに関しては、序章かもしれませんけど(苦笑)。