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引っ越し当日に妻がブチギレするも…まさかの理由で深まった“夫婦の絆”

コラム

「追い焚き」のために奔走する日々

追い焚き

 木を見て森を見ずだったのか。自分の落ち度で必須条件だったはずの「追い焚き」を見逃していた鈴木さん。引っ越し当日には、妻にこっぴどく怒られたと言います。

「何で見逃していたのかと、今でも思うんですよ。引っ越し当日の夜、妻にだいぶ叱られたのは言うまでもなかったです。心の中では『一緒に汗を流して不動産会社を回ったんだぞ。今日だって、IKEAの家具を必死に組み立てたのに何でそんなこと言われなきゃいけないんだ』と思っていましたが……。まあ、そこはグッとこらえてひたすら謝りました」

 夫婦で荷ほどきをしながらも「重たい空気が流れていた」と、当時の状況を振り返る鈴木さん。物件に追い焚きが付いていなかっただけで、しばらくは理想の暮らしを手に入れるため奔走したそうです。

「物件自体に機能が付いていない以上は、どうしようもないので。ネット通販でお風呂に入れて追い焚きができる湯沸かし器のような機械だったり、いろいろ試しました。でも、どうにもしっくり来なくて。数日間は、モヤモヤしたまま暮らしていました」

まさかの“夫婦の絆を深め合う”ことに!

 ただ、雨降って地固まるとはよく言ったものです。新居で過ごす時間が増えていくにつれて、念願の追い焚き機能がなかったことで、夫婦の思わぬコミュニケーションができるようになったと言います。

「妻と一緒にお風呂へ入る習慣ができたんです。当然ですが追い焚きがない以上、誰かがお風呂へ入ってしまえば、あとはお湯が冷めるだけじゃないですか。先にどちらかがお風呂へ入って、もう一人のために沸かし直すのは水道代やガス代がかかるので、いつからか2人一緒に入るのが定着しました。怪我の功名というか……。結果として、夫婦で会話する時間も増えました」

 新婚早々からケンカの火種ができたかと思いきや、思わぬ形で夫婦の絆を深め合うことができた鈴木さん。とはいえ、円満に解決したのは2人の良い関係性があってのこと。鈴木さんは「契約内容はやはりよく確認したほうがいい」と、言葉を残しました。

<TEXT/カネコシュウヘイ イラスト/本田しずまる(@hondashizumaru

特集[残念な引っ越し体験]

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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