22種の干物定食を提供する「しんぱち食堂」。一番の人気メニューと早さの秘密を聞いた
焼き魚とお味噌とご飯、それに大根おろしや小鉢がついてくれば、理想的な日本の定食である。そんな焼き魚定食を時々無性に食べたくなる人は少なくないだろう。しかし、水産庁の調査結果によると、年間に1人あたりが魚を食べる量は、20年前頃から減少傾向が続いており、現在では2001年のピーク時の6割以下に減少しているという。
【画像をすべて見る】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます
そんななか、人々が魚を求めて足を運ぶ、焼き魚定食のファストフード店がある。首都圏を中心に展開している「しんぱち食堂」だ。今回は、株式会社越後屋 しんぱち食堂本部の岩田勝氏に話を聞いた。
そもそもなぜ「焼き魚」なのか
「しんぱち食堂」は炭火焼干物定食店であり、2022年4月現在、首都圏を中心に22店舗展開している。メニューには22種類もの魚定食があり、お客さんに魚を食べてもらおうという強い意志がうかがえる。なぜ焼き魚にこだわったのだろうか?
「もともと弊社グループ会社で『越後屋』という名前の干物の居酒屋を経営していました。『越後屋三太夫』や『越後屋玄白』というように、その土地由来の名前が『越後屋』の後に続く居酒屋です。今も都内に13店舗ほど経営しています。干物を中心にビールや焼酎などを提供する居酒屋ですが、ビジネス街にあったので、昼間に干物の定食を出していたんです」(岩田氏、以下同じ)
これが想像以上に反響があったという。
「敷地30〜40坪ほどの居酒屋さんが、ランチ営業をしても普通は数十人しか来ないものです。それが人気が出て、昼だけで200人くらいくるようになったんです。ニーズがあるんだなと感じました。それで、専門店として定食屋を開こうと思い至ったんです」
早い提供を可能にした独自の焼き器
先日、筆者が池袋店に来店した際には、ランチタイムで満席だったにも関わらず、約8分というスピーディーな提供が印象的だった。どのようにして素早い提供を可能にしているのだろうか。
「炭火焼は普通、下に炭が置いてあり、片面を焼いたら裏返して、もう片面を焼くというものです。しかし、うちの場合は上と下に炭を置き、その間で焼くことで裏返さないで済むため、半分の手間で焼けるんです。大した技術ではないんですけど、独自でそのような焼き器を開発しました」