ジョブズが行った「驚きのプレゼン」ポイントは3つ。読み手にとって迷惑な伝え方も
ジョブズが行った驚きのプレゼン
「言いたいことを絞る」と言われても、たくさん伝えたいことがある中で、たった1つのメッセージに絞ることは非常に難しいと思います。では、一体いくつまでなら一度に伝えてもOKなのでしょうか? それはもう、言うまでもなく「3つ」です。きっとあなたも、「プレゼン必勝法!」のような本や記事で、「初めに『ポイントは3つです』と宣言する」というテクニックを読んだり聞いたりしたことがあると思います。
この「ポイントを3つ」を最もうまく使いこなしたのも、スティーブ・ジョブズでした。彼は、ある新製品を発表する際、「革命的な製品を1つではなく3つ、紹介する」と語ったあとに、こんなプレゼンテーションを行っています。
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「つまり、この3つだ。タッチコントロールによるワイドスクリーンのiPod、革命的な携帯電話、画期的なインターネット機器。iPod、電話、インターネットコミュニケーター。iPod、電話――わからないかい? 3つに分かれているわけじゃないんだ。実はひとつ。iPhoneっていうんだ」
出典:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ、日経 BP)
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iPhoneが初めて発表されたときのプレゼンテーションです。3という数字を非常にうまく使いこなすことで、プレゼンテーションを劇的なものにしています。
なぜポイントは「3つ」が最強なのか
ではなぜ、「ポイントは3つ」なのでしょうか? もちろん、そこにも科学的根拠があります。たとえば、前述のスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションについて詳細に解き明かした『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』によると、私たちの頭が短期記憶に保持できる情報は、ごくわずかです。
これは、ベル研究所のジョージ・ミラーが発見し、『マジカルナンバー7±2』という論文で1956年に発表されています。この論文で、「数字が7桁から9桁を超えると、短期記憶で処理するのが難しくなる」という研究結果を示しました。
最近は、人間の頭が楽に思い出せるのは3項目から4項目というのが学会の定説となっているそうです。文章を書くときや、物事を整理するときは、ぜひ、この「3」という数字に注目してみてください。
<TEXT/UXライター、コピーライター 宮崎直人>