ブリヂストン、大規模リストラから増収増益で復活。大手企業社員にも“冬の時代”か
不採算部門を中国企業へと売却
ブリヂストンは2020年12月期の従業員数が前期比3.9%減少、2021年12月期はさらに1.7%減少しています。それに伴って稼ぐ力を取り戻しており、1人当たりの営業利益は2017年12月期と同じ290万円となりました。コロナ禍による資源高にもかかわらず、利益水準を上げているのは成果と呼ぶに相応しいものです。
ブリヂストンのこれまでのリストラは序章にすぎません。2019年末時点で160拠点あった拠点を、2022年末までに約3割(約50拠点)削減する計画です。
リストラの台風の目となるのが、エンジンの振動を抑える部品を扱う防振ゴム事業と、シート部材などの化成品ソリューション事業。防振ゴム事業は2022年7月に中国の自動車部品メーカー安徽中鼎に売却。化成品ソリューション事業は8月に投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドに売却します。
およそ7900人の従業員が転籍
2事業の合計従業員数は7900人。ほぼすべての従業員が転籍する見込みですが、優良企業であるブリヂストンと袂を分かち、中国企業や投資ファンドのもとで働くのは不本意だと感じる人も少なくないでしょう。
外資系企業や投資ファンドは経営効率を重視する傾向が高く、工場の閉鎖や人員削減に踏み切っても不思議ではありません。労働環境が急激に変化する可能性は低いですが、人事評価制度や給与体系は塗り替えられる可能性もあります。
ブリヂストンが焦りをにじませる背景には、シェアの低下があります。米専門誌「モダンタイヤディーラー」によると、2020年のタイヤ売上高1位はブリヂストンで226億ドル。2位はミシュランで220億ドルでした。1位との差は2019年の8億ドルから6億ドルに縮まっています。
長年タイヤのシェアはブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤーの3強による寡占化が進んでいました。しかし、近年は中国の中策ゴムや台湾の正新ゴム工業などの新興勢が台頭。低価格を武器にジリジリとシェアを広げています。