ウクライナ侵攻で「株価急落」の背景。コツコツ貯めた投資信託も売るべきか
金や原油は株式投資の代わりになるの?
昔から有事の金(ゴールド)と呼ばれる通り、紛争など危険な状況が訪れると買われる資産が金です。金の特徴は世界中で通用する換金性のある資産だということ。重いため大量に持ち運ぶのは難しいですが、避難した先で現金化できるため、いざというときのお金の代わり、としての人気があります。
実際に、世界の株価が下落するのとは対象的に、価格が上昇しています。では、ウクライナへの軍事侵攻をきっかけに金の現物を買えばいいのでしょうか。金の換金には買取価格に含まれる手数料が必要です。もし、これから金を買おうと考えるなら、金のETF(上場投資信託)や金の投資信託を買えば足りると考えます。
ETFと投資信託の違いは、ETFは最低投資金額が高め(ETFの価格による)、投資信託は100円から投資できるなどの違いがありますが、似た分類の商品です。人によってはロレックスなどの高給時計を有事用に買う人もいるでしょう。高給時計は海外で現金化できますから、富裕層の避難時の持ち物としては鉄板アイテムです。
原油も今回の株価下落とは反対に動いているように見えます。原油価格が高騰しているのは、ロシアから原油や天然ガスなどのエネルギー資源の供給が減り、需要に対して供給が追いつかなくなるためと考えられます。
需要と供給のバランスの問題で価格が上昇しているのであれば、アラブ産油国の増産や代替エネルギーの供給などのニュースがあれば平時の価格に戻ってもおかしくありません。原油は価格の変化が大きく、原油不足で一時的に価格が上昇したとしても、数か月から数年かけて価格が戻る可能性もあるでしょう。そう考えれば、短期的な投資先として原油を買う選択は悪く有りませんが、長期保有を前提とする資産ではないでしょう。
最悪の事態を想定すると対応が分かれる
ロシアがウクライナの原発付近で戦闘を行っているというニュースがありました。万が一、原発が破壊されるような事態であれば、一瞬で世界の株式市場は売り一色のパニック状態に陥るでしょう。リーマンショックやブラックマンデーの比ではないかもしれません、そもそも投資している場合ではなくなる可能性もあります。
そうであっても、数年後、数十年後には価格が回復するかもしれません。一方で、万が一世界中が大恐慌に陥った場合に、あなたの身分(仕事や収入)はどの程度守られているでしょうか。仕事がなくなったときに、財産も大きく目減りするという事態が最悪のケースと仮定すれば、身分が保証されている職種の人は、投資を継続するゆとりがあるでしょう。
一方で、身分が保証されていない人は、いざという時に収入も資産もなくしてしまうという恐れもあります。最悪のケースを考えるのであれば、保有している金融商品を全部売る、という選択肢も悪手とは言えません。いずれの場合も最悪の事態を想定するならば、投資すべきは金関連の金融商品か金の現物かもしれません。
むしろ、そんないろいろなケースを考えなければいけないのであれば、売ってしまおう、または気にせず投資を続けようと考えが分かれるかもしれません。投資の世界は正解がありませんから、どのくらいの未来を予測して資金を投じるか、自分に当てはめて考える必要があるでしょう。この方法がベスト! と言い切れる方法は、残念ながらありません。