セガのゲーセン撤退は赤字事業の足切りか。業績はV字回復傾向も
弱点を克服してV字回復傾向に
2021/3期の決算以降、今期の業績が心配になるところですが、すでに回復局面にあるといえます。最新22/3期第3四半期の業績は売上高2368億円(前年比+12.6%)、営業利益327億円(同+141.5%)、経常利益334億円(同+165.6%)と増収大幅増益です。
主力事業に関しては一般向けゲームが新作・既存共に好調となったほか、ゲーセン自体は畳んだものの施設向けのゲーム機は前年比で増加し、セグメント全体で増収増益となりました。遊技機事業については旧規制機の撤去期限が2022年1月に定められたこともあり、新作が好調となったため増収、利益は黒字を確保しました。
前年度に実施した固定費削減も増益要因のひとつです。リゾート事業は依然赤字ですがマイナス幅を昨年より縮小しました。今期は前年度の反動だけでなく、ゲーセン事業の撤退や遊技機事業における固定費削減など、前年度まで抱えていた弱点を克服したことでV字回復につながったと考えられます。
ビッグタイトルの開発と事業の効率化を進める
今後について同社は中期計画(3か年)を定めており、2022/3期はその初年度にあたります。主力のゲーム関連事業の中でも一般向けを成長分野と定め、「Super Game」の開発に努めるようです。Super Gameは同社が名づけたものですが、世界中でヒットするビッグタイトルを表します。
セガはMicrosoftとの間でクラウドを活用した次世代ゲームの開発環境を構築する提携を結んでおり、これがSuper Gameの開発につながるかもしれません。一方で遊技機やゲーセン向け機器に関しては成長よりも収益確保を目指すとしており、事業の効率化を進めるとしています。
国内のパチスロ店、ゲーセンの数が縮小するなか、拡大よりも収益化を重視する戦略は正しいと言えるでしょう。いずれにせよ今後セガサミーHDがさらに成長するかどうかはSuper Game次第と言えそうです。
<TEXT/経済ライター 山口伸 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>