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入浴介助で陰部を「触って」。給料安い、仕事はキツい…介護業界のセクハラ実態

ビジネス

「介護の質が低すぎる」と強い口調で

介護

 筆者が代表理事を務める日本ハラスメント協会に相談があった介護職員ならではのダブルハラスメント被害に遭ったケースを紹介します。

 ある訪問介護サービスで働く女性にれば、最初の頃は何も言わなかったのに、入浴介助をしている時に「旦那とは月にどれくらいするの?」などプライベートに関する質問をしてくる利用者の男性がいたそうです。徐々にその回数も増えてきましたが、それでも何とか笑顔で質問を流していたら、ある日突然「ここ触って」と陰部を触るように指示されてビックリ

 利用者の男性は自分で陰部も洗える介護状態のため、丁寧に断ると「そんなこともできないのか?」「おまえに仕事があるのは俺のおかげだ」「介護の質が低すぎる」などと強い口調でパワハラ発言されたということです。セクハラからパワハラに変化するケースは一般的によくあります。

「そんなこと、この仕事はいくらでもある」

 その人は、たまらず上司に相談しましたが、「うまくやってね」「隙があるからそうなる」「そんなこと、この仕事はいくらでもある」と返され、上司に相談したことでむしろ精神的苦痛が重なり絶望的な気持ちになったということです。

 相談を受けた上司の対応はセカンドハラスメントと言えます。長年、介護業界に根付いている典型的な悪い風潮です。日本ハラスメント協会が介入して、相談者の勤務先に対応方法の助言をしました。介護事業者側が利用者の家族にあらためて注意事項を説明し、男性の介護職員に担当を変更することを伝えました。その後、利用者の男性はおとなしくなったようです。

 もし利用者からハラスメント被害に遭った場合はどのように対応すれば良いのでしょうか? ここからは介護職員として働く人にアドバイスをお伝えします。

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