『ジョブチューン』和風ツナマヨ炎上はなぜ起きた?そこには“ポジティブなヒント”も
「おいしくない」を言うことは、覚悟が必要だ
今回炎上に至ったネット上の皆さんの気持ちを考えてみたとき、シェフの切り捨て発言は、意図はしてないにせよ、コンビニおにぎりを食べている人たちへの敬意や配慮の欠落につながってしまったのではないかと思うのです。
極端に解釈すれば「こんなひどいオニギリを食べてるのかよ!」とバカにされた気分になる可能性があるのではないでしょうか。コンビニおにぎりの存在が消費者にとってどんなに大きいか、お世話になっている人々がどれほど多いかを思い巡らせると、影響力を持つ専門家やオピニオンリーダーたちは、安易に「マズイ!」とは言えなくなりそうですが……。
そしてこれは、プライベートにおいても同じことが言えそう。過去に体調の優れない奥さんが、夕飯に冷凍餃子を出して夫に批判された問題が炎上したのと同様、切り捨てるような「マズイ! ひどい!」は、物事を良好に改善するとは考えにくいのです。
もし、誰かが作った料理を否定したいと思ったとき、その料理の背景にあることや作った経緯を少しでも想像できたら、相手や第三者の怒りや悲しみを生む事態にはならないと思います。
ファミマにはユニークで美味しい名品たがくさん
また、これまでファミリーマートが数々のヒット商品やシンプルながらも美味しい商品を提案していることも忘れてはなりません。おいしい商品、ユニークで楽しい商品、リーズナブルな商品がたくさんあります。ある料理家が言っていました。「料理でマズイものなんてない。自分の受け取り方を再確認せよ」と。私もそう思います。躊躇をせずにマズイと言っていいのは、自分が作った料理だけかもしれません。
ということで、最後に心を込めてしっかりお伝えしたいと思います。
私は個人的に、ファミマの和風ツナマヨおにぎりはものすごくおいしいと感じました。そして食の仕事をさせてもらっている立場としては、このおにぎりは多くの人々のおなかを満たしてくれる大切な存在であり、敬意を払いながら、今後さらなるバージョンアップを期待したいと願います。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>