カインズ、“利益率1%以下”の東急ハンズを買収した理由3つ。泥沼業界にくさびを打てるか
ホームセンター大手のカインズが、2021年12月22日に東急不動産ホールディングスから東急ハンズを買収すると発表しました。カインズは群馬県前橋市に本社を置く売上高1兆円企業ベイシアグループの傘下にあります。
ベイシアはワークマンもグループに収めていますが、M&Aを行わずに自前で事業を拡大したことで有名です。ネームバリューのある東急ハンズの買収が消費者に衝撃を与えたと同時に、ベイシアグループが大規模なM&Aを行ったことで小売業界も動揺を隠すことができませんでした。なぜカインズは東急ハンズを買収したのでしょうか?
ドラッグストア業界と似ているが…
カインズは2021年2月期に売上高が4854億円。競合となる、「カーマ」や「ダイキ」などを運営するDCMホールディングスの売上高(営業収益)が4711億円、コメリの2021年3月期の営業収益が3857億円。ホームセンターは激しいトップ争いを続けている業界です。
2021年10月にマツモトキヨシとココカラファインが経営統合し、マツキヨココカラ&カンパニーが発足しました。2社の統合によって、売上高はドラッグストア業界1位のウエルシアホールディングスに肉薄しました。ホームセンター各社が激しくトップの座を取り合う姿はドラッグストア業界とよく似ています。
店舗数が増加しても市場が伸長しない
しかし、ドラッグストアは店舗数も市場も旺盛に伸びていますが、ホームセンターは市場規模が横ばいで店舗数が伸び続けるという泥沼の戦場です。
市場が拡大せずに店舗数ばかりが増えることになるので、当然1店舗あたりの売上高は落ちることになります。2003年は1店舗当たりの売上高が10億円ありましたが、コロナ特需に支えられる前の2019年には8億円まで18.7%減少しました。
ホームセンターは出店をして稼ぐことを基本としています。しかし、出店を重ねるにつれて1店舗あたりの売上高は減少するので、単店もしくは会社全体で利益を出せるようにしなければなりません。カインズの東急ハンズ買収はここが1番のポイントです。