コロナで若者のクルマ需要がじわり。BMWが掲げる「未来へ向けたEV化戦略」
コロナ禍で若者のクルマ需要が再燃
さらにEVにおける航続可能距離も格段に伸びている。2014年のi3は航続可能距離が300kmに対し、2021年11月に発売した新型EV「iX3」や「iX」は前者が450km、後者は650kmと1度の充電で相当の距離を走行することが可能になっているのだ。
充電ステーションを探しながら、日本国内をドライブするには十分な航続可能距離となっている。脱炭素社会に向け、政府も「2035年までに新車販売を100%電動車へ切り替える」方針を示していることから、EV化はさらに進むのではないだろうか。
こうしたなか、2020年から続くコロナ禍で消費者志向は一変した。以前は若者の車離れが懸念されていたが、遠藤氏によると「コロナ禍で20代の車の購入者が増えている」と語る。
「1990年と比べ、車を『憧れの存在』として買わなくなったのは事実です。ただ、コロナ禍では、自然の中で少人数で楽しめるゴルフニーズが高まりました。希薄になりがちな人間関係ですが、友人同士で車を運転してどこかへ行く楽しさや、仲間と過ごす充実感などが、若者の間で再発見されつつあります。最初はレンタカーやカーシェアリングで借りていたのが、次第に『自分の欲しい車を』とマイカーを持つ20代も増えていますね」
「待ち」から「攻め」で多様な層へ訴求
加えて2021年11月には、若者文化の中心地である渋谷での屋外ビジョン広告や「THE iX SHIBUYA WALL JACK」と題した気鋭のアーティストとコラボしたポスター広告を街中に展開し、iX3やiXのプロモーションを実施した。
次世代モビリティの可能性を、渋谷という街を使って訴求したことに対し、「ショールームで待つのではなく、ブランドが街に出ていってお客様に魅力を届けることが必要になる」と遠藤氏は述べる。
「これまではサーキットイベントなどのような、コアなファンに向けての施策はやっていました。ただ、車への趣味嗜好が変化しているなかで、もっと多様な層にもアプローチし、新たなお客様を獲得していかなければならないと感じています。渋谷でのプロモーションも、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集う場所でBMWというブランドを知ってもらうためです。今後は渋谷以外にもいろいろな街へ出ていき、マーケティング活動を行っていきたいと考えています」