利益1兆円ソニーと崖っぷちの東芝。何が明暗を分けたのか
ソニーが大復活を遂げました。2021年3月期は前期比15.0%増の9700億円の営業利益を計上しましたが、2022年3月期は、さらに9%増となる1兆円での着地を見込んでいます。営業利益1兆円は長いソニーの歴史の中で過去最高です。売上高も10%の伸びを見込んでおり、巨大企業の驚くべき快進撃が始まりました。
一方で、日本の電機メーカーとしてソニーとしのぎを削った東芝が冴えません。2021年3月期の営業利益は前期比20%減の1044億円となりました。東芝は組織を3分割するという苦渋の決断をしましたが、一部のファンドが快く思っておらず、再建プランすらも暗礁に乗り上げる可能性があります。
テレビとモバイル端末で大赤字の低迷期
かつてソニーは暗黒期を迎えていました。2009年3月期の売上高は前期比12.9%減の7兆7300億円、2278億円の営業損失(前年同期は4753億円の営業利益)を計上。このころの赤字の主要因がテレビ。2009年3月期はテレビを含むエレクトロニクス分野は1681億円の営業損失を計上しています。
もうひとつ足を引っ張っていたのが、2001年10月にスウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンと立ち上げた合弁会社ソニー・エリクソン。ソニーはモバイル端末で後れをとっていたため、エリクソンと共同歩調を合わせる道を選びました。エリクソンもフィンランドのノキアに先を越されており、ソニーとの協業はシェア獲得の上で都合が良かったのです。
しかし、ソニー・エリクソンは2008年3月期に795億円の利益を出しましたが、その後、販売台数を落として2009年3月期に303億円の損失を出します。日本でiPhoneが初登場したのが2008年7月。モバイル端末市場がスマートフォンに浸食され始めたころです。ソニー・エリクソンは2010年3月期に赤字幅を345億円まで広げました。ソニーは2011年10月にエリクソンとの合弁を解消します。
大画面テレビに軸足を移したのが奏功
2016年3月期に、テレビやモバイルを含むエレクトロニクス5分野の合計が黒字化を達成。エレクトロニクス分野の主力がテレビであることは今も大きく変わりませんが、ソニーは低価格帯の中・小型市場から身を引き、大画面の高付加価値商品へと軸足を移しました。それが奏功します。
今期好調の要因は大きく2つあります。1つはエレクトロニクス分野。もう1つは音楽分野です。