ウーバーイーツの“不法就労”が命綱だった…ベトナム人女性ら外国人配達員の本音
コンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食店などで外国人が働く姿を見かけることは、いまや珍しくありません。そんななかで、今回はウーバーイーツの配達員として東京の街を自転車で走り回る3人の外国人を、ウーバーイーツをはじめとしたフードデリバリーを月に80時間ほど行う筆者が、取材しました。
技能実習生として、日本の食品加工会社へ
ベトナム人のフンさん(仮名・27歳女性)はベトナム南部の町・ニャチャン出身。技能実習生として日本にやって来ました。細身で可愛らしい女性です。
「わたし、日本語下手。日本語能力試験むずかしい、がんばった」と片言の日本語で話すフンさんは、神奈川県にある食品加工会社で技能実習生として働くことになりました。
「ホーチミンのカレッジに行きながら日本語を、勉強しました。技能実習生になるため、日本語の学校に4年間通いました。日本語、漢字はまだできない。日本語能力試験3級を取りました。2級、難しいです。コロナで日本に来るのが遅れましたが、来れて嬉しかったです」
会社には無断で東京へ
しかし、フンさんが勤務した職場は過酷で、8時間も立ちっぱなしです。トイレへ行くのも管理される状態で、ただひたすら弁当に惣菜を詰める毎日でした。当初は日勤のみという契約だったのを、相談もないまま夜勤にシフトを変更されたそうです。
フンさんの疲労は日々たまり続け、勤務から5か月後、ついに会社には無断で東京へと旅立ちます。
以降、ビザ無しの不法滞在の身となったフンさんですが、友人数人でアパートメントの部屋をシェアしながら、友人のIDを借りて東京でウーバーイーツ配達員をしながら生活することになりました。実質的には不法就労となり、本人だけでなく雇用者も罰せられる可能性がある状況ですが、アプリのシステムのみで働けるウーバーイーツが、フンさんの“命綱”になったことは確かなのです。