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関西スーパー買収劇、H2Oとオーケーの対立が泥沼化。“百貨店の凋落”が背景に

ビジネス

「阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)か、首都圏地盤のディスカウントスーパーのオーケーか」。注目の買収劇が泥沼化しています。この記事は、エイチ・ツー・オーが関西スーパーを強引にでも経営統合しようとする背景には何があるのか、解説する内容です。

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※画像はイメージです

関西スーパーの買収劇が裁判に発展

 2021年10月29日の関西スーパーの臨時株主総会でエイチ・ツー・オーリテイリングとの経営統合案への賛成が3分の2(66.67%)を上回りました。賛成率は66.68%だったとされており、ギリギリの票数で決着したかに見えました。

 しかしオーケーは、「本来『否決』であるべきだったにもかかわらず、無理やり『可決』にした疑義がある」として、株式交換差し止めの仮処分申し立てを行うと11月9日に発表しました。

 エイチ・ツー・オーは関西スーパーの株式58%を取得して連結子会社化。すでに連結子会社化しているイズミヤ、阪急オアシスと経営統合し、関西圏でのドミナント戦略を強化します。関西スーパーは名称を変更することなく、上場も維持する方針です。

オーケーの買収提案に賛同が多い2つの理由

オーケーストア ©yu_photo

 2021年3月末の段階で、エイチ・ツー・オーは関西スーパーの10.65%を保有する筆頭株主でした。オーケーは7.69%を保有する第3位の株主です。両社は関西スーパーの大株主でした。オーケーの買収提案に賛同を示していた株主が多かったのには理由が2つあります。1つはTOBによる価格プレミアム。もう1つは、オーケーの経営戦略が分かりやすかったことです

 オーケーは1株2250円で買い付けようとしていました。エイチ・ツー・オーの経営統合案を発表した8月末(8月27日)の株価終値は1318円。1.7倍で買い取る魅力点な案でした。

 一方、エイチ・ツー・オー案はイズミヤと阪急オアシスの全株を関西スーパーに引き渡して支配権を与える代わりに、関西スーパーの株式をエイチ・ツー・オーに割り当てて保有割合を58%まで引き上げるというものでした。個人投資家にとっての株価プレミアムはありません。関西スーパーの株価は経営統合案が可決される前の10月29日時点では1848円。可決したと報じられた後の11月5日には1218円まで下落しました。

 しかし、オーケーの待ったがかかると再び上昇に転じ、11月10日の終値は1433円となっています。エイチ・ツー・オーの統合案が、株主から魅力的なものと捉えられていないことがよくわかります。

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