急速に広がった「Qアノン」。スピリチュアルと融合する陰謀論の現在地
聖なる言葉を唱えるだけでコロナが治癒する?
さらに、私がこの現象に関心を持ったきっかけとして、新型コロナウイルスが流行しはじめていた2020年1月にTwitterおよびnoteで目にした次の投稿があります。
「カバール(Qアノンでも言われる闇の政府)は地球の人類を巻き込んで破滅しようとしているが何度も失敗した。そこで次の手段として選んだのが主にアジア人をターゲットにした生物兵器、新型コロナパンデミックである。プレアデス星人はこれに対応するため、とある聖なる言葉を三回唱えるだけで新型コロナウイルス感染症が治癒するテクノロジーを開発した」
ここでは、闇の政府という陰謀論と、プレアデス星人(良い宇宙人としてスピリチュアルでよく見られます)や民間療法(というより呪術に近いですが)というスピリチュアルの要素が融合しており、共通の語彙を持つQアノンにも言及した上、その情報を拡散していました。
ヨガやヒーリングにも繋がる陰謀論
この陰謀論グループはQアノンよりも前から存在する、いわゆる陰謀論の一派で、もともとあった陰謀論がQアノンや新型コロナウイルス陰謀論といった「旬な陰謀論」を取り込んでいることがわかります。
また、これからわかるとおり、当初主流だったのは「コロナは存在しない」型ではなく「コロナは生物兵器」型の陰謀論でした。新型コロナが本格的に流行しはじめてから前者が優勢になったのです。さらに注目されるのが、Qアノンと同様、この陰謀論アカウントのフォロワーにもヨガやヒーリング関連のアカウントが多数存在していたことです。
一見単なるリラクゼーションに見えるヨガやヒーリングですが、こうした「癒し」はスピリチュアルへと繫がり、スピリチュアルからプレアデス星人へ、プレアデス星人から(良い宇宙人が戦っている相手である)カバールや爬虫類型宇宙人へ、そこからQアノンや陰謀論へ至るルートが考えられます。
<TEXT/オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家 雨宮純>