店舗数が大激減の「金の蔵」。コロナ前から苦戦する運営元の台所事情
チカラめし、大減速の原因は?
当時、居酒屋をメインに展開していた同社は新規事業の一環として2011年に東京チカラめしの1号店をオープンさせました。それまでになかった焼き牛丼専門店は注目を浴び、2013/6期末時点で130店舗にのぼります。しかし翌2014/6期には21店舗まで減少してしまいました。炊いた汁を載せるだけの牛丼に対し、東京チカラめしの牛丼は焼く必要があります。
大失速の原因は、調理時間が長いため回転率が低下してしまうほか、従業員に焼く作業を習得させるのが難しく、人手不足になったことといわれています。いずれにせよ東京チカラめしの失敗は同社の業績を大きく悪化させ、売上高は2013/6期末の257億円から2014/6期末には194億円へと減少してしまいました。
コロナ禍以前から店舗数は減少傾向
金の蔵は2014/6期末に73店舗を展開し、2018/6期末でも70店舗を維持するなど安定していましたが、2018/12には63店舗、コロナ禍以前の2019/12には57店舗まで減少しました。同社は絞り込みで採算性をあげると公表していましたが、金の蔵が飽きられてしまったのは言うまでもありません。
あくまでも安く飲むための居酒屋であり、何かしらのヒキがあるチェーンではありませんでした。そして、コロナ禍の2020/6期は40店舗も閉店し、これが同社の大幅減収へとつながりました。繁華街に積極的に出店していたため店舗の賃料が高く、客数減少に耐えられなかったようです。
まとめると、三光マーケティングフーズは東京チカラめしの失敗でピークから減収に転じ、近年は金の蔵が伸びず、じりじりと業績が悪化。そんなタイミングでコロナの打撃を受け、業績が大幅に悪化してしまいました。
同社の株価は2004~2006年に2500円を超えるピークを記録しましたが、2012~2018年はおおむね1000円弱を推移していました。しかし2019/6期の低迷とコロナ禍が影響し、現在では200円台の低位株となっています。