借金480万円残して絶縁状態の父が死亡。肩代わりする20歳男性がとった手段とは
相続放棄をしていなかったことで窮地に
「遺品整理の際、借金がないか調べましたが借用書の類は見つからなかったので、その点に関してはすっかり安心していたんです。死んだ人間のことを悪く言いたくはないですけど、さすがにあのときは父親を恨みましたね」
ちなみに相続放棄の制度のことは彼も知っていたそうですが、その期限は親の死後3か月以内。遺産も借金もないと思っていたため、特に放棄はしていませんでしたが、その判断が結果として窮地を招いてします。
でも、ネットで調べてみたところ、「3か月を過ぎても相続放棄が可能」との情報も出ており、無料の法律相談に問い合わせをすることに。すると、条件次第では期限後の相続放棄も可能で、彼のケースなら認められる可能性が高いことがわかったといいます。
「ただ、家庭裁判所に申し立てをしなければならないそうで法律の知識も何もない私がひとりでやるのは無理です。そこで弁護士の方に依頼して、相続放棄の手続きを進めてもらうようにお願いしました」
期限後でも相続放棄できたけど…
すると、借金の存在を死後3か月以上が経過した時点で初めて知ったことが証明され、晴れて相続放棄も認められたとか。おかげで480万円の借金を背負わずに済んだそうです。
「まあ、弁護士費用として10万円かかっちゃいましたけどね。期限後の相続放棄の手続きとしては相場の報酬みたいですが、これも本当は痛い出費でした。葬儀などにかかった費用と合わせると60万円以上になり、これは全額自腹。
実は、父親が亡くなる直前、車を購入して貯めていたなけなしの100万円を頭金に使ってしまったんです。仕方なく銀行ローンでお金を借りてしのぎましたが返済が1年半ほど続き、この間はいつも以上の節約生活を強いられて辛かったです(苦笑)」
とはいえ、相続放棄していなければ、今も借金で苦しんでいた可能性は高いはず。彼のように親の死後3か月が過ぎても相続放棄が可能なケースがあることは覚えておいたほうがよさそうですね。
<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>
-[借金に泣いたエピソード]-