スノーピークの株価が2か月で2倍に…アウトドアブームで絶好調な業績を読み解く
競合企業と比較すると高価格路線
キャンプ入門者が増えたことはスノーピークにとって追い風となります。これはスノーピークのポジショニングが関係しています。ブランドの土俵である、ファミリーキャンプ向け、中・低価格帯の競合となる代表的なブランドは、コールマン、ロゴスです。
スノーピークの4人用テント「ヴォールト」の価格は3万2780円(税込み、公式サイトより。以下同じ)。コールマンの同タイプ「BCクロスドーム」が2万2800円。ロゴス「ドゥーブル」は小売店で2万2000円ほどで売られています。スノーピークは競合の中で高価格路線をとっています。例えばコールマンは全国のホームセンターで取り扱われていますが、スノーピークはアウトドア専門店やスポーツ用品店、直営店が中心です。とりあえずキャンプを始めてみようというビギナーはコールマンを手に取るケースが多く、スノーピークは専門店に足を運ぶキャンプへのモチベーションが高いユーザーを取り込んでいます。
さらにスノーピークは高品質で商品の品ぞろえが豊富なため、コレクションしたくなるブランドという地位を確立しました。モチベーションの高いユーザーはキャンプに行く頻度も高くなり、スノーピークはリピート購入につなげられるメリットがあるのです。
これはスノーピークが顧客第一主義を貫き、ファンとの対話をしてきた経緯が関係しています。1998年10月から「スノーピークウェイ」というイベントを開始しました。企画の発端はユーザーの声を直接拾いたいという現場からの意見でした。
羨望のまなざしを受けるスノーピーク
イベントを通して「価格が高い」「商品の幅が狭い」といった声が聞かれるようになりました。そこでスノーピークは問屋との取引をやめて中間手数料を削減し、価格に反映しました。これによって中・低価格帯へと軸をずらします。また、商品の幅を広げたのも、ユーザーの声を活かしたものです。
強力なファンに支えられ、品質の向上を図ったスノーピークは、ビギナーが憧れる絶妙なポジションを獲得しました。キャンプへのモチベーションが高いビギナーが増えれば増えるほどスノーピークにとって有利な状況となるのです。
そして顧客主義を貫いていることからビギナーがファンになりやすく、そこから中級・上級キャンパーを囲い込むことができるのです。