横浜流星、いるだけでカッコいいスタア性の秘密。“ポスト千葉真一”の声も
精神力の原点はブルース・リー
『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014~2015)で戦隊ヒーローとして活躍して間もない頃、17歳最後の夏に沖縄で撮影された初のDVD作品『横浜流星 1st DVD R』(2014)に重要な記録がある。
もうすぐ18歳になってしまう限られた時間を思い切り輝かせるため、外国人の師匠相手に組手に勤しむ横浜。極限まで絞られた肉体にさらに鞭打つように暗がりのジムでトレーニングに励み、全身から汗を吹き上げながら「シュシュシュ」という息をもらして右ストレートを繰り出す。
黙々とシャドーボクシングに打ち込む姿が、あるカンフー・マスターを彷彿とさせる。ブルース・リーである。日本テレビの人気番組『アナザースカイ』(2019年8月9日放送)で横浜が香港を選んだのは、ブルース・リーゆかりの地を辿るための聖地巡礼のためだった。
横浜が俳優の道を進むことを決意したのが18歳。ちょうどリーが単身渡米したのも同じ年齢だった。リー主演の代表作『燃えよドラゴン』(1973)のロケ地を訪れた横浜は、アクション映画の撮影に挑戦し、尊敬するリーさながらに武勇の精神を素肌で体感した。
「高みを目指そうって思えるような場所」と香港について語る横浜は、アクションスターとしての自身のイメージを膨らませていたようにみえた。
殻を破るきっかけは、アクション映画にあり?
これまでも『あなたの番です ―反撃編―』(2019)や『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(2020)などのテレビドラマ作品で驚くほど華麗なハイキックを披露したり、吉高由里子とのW主演映画『きみの瞳が問いかけている』(2020)では愛する人のために危険な試合に挑戦するボクサー役を熱演し、本格的なアクション俳優としての側面をみせてきた。
8月19日、82歳で惜しくも亡くなった千葉真一は極真空手の名手であり、「元祖アクションスター」と言われた俳優だが、その後継者として横浜の名が浮上していたりもする。世界に目を向けても『ミッション・インポッシブル』シリーズによってアクション俳優のポジションを不動のものにしてきたトム・クルーズなど、アクション映画はスターのイメージを確立しやすいジャンルだ。
「僕の中にまだある殻を破ることができたら」という横浜の切なる願いは、今後アクション映画が活路となって切り開かれていくのかもしれない。2021年、そして2022年、横浜流星のストイックな挑戦はまだまだ続きそうだ。
<TEXT/加賀谷健>