新しい飲酒スタイル「チェアリング」。折りたたみイスで野外飲みしてみた
チェアリングのもうひとつの魅力とは
「近くにマッカーサー道路っていうところがあって、そこがめちゃくちゃいいんです」
伊藤さんにおすすめされて、せっかくなので移動してみると、これが最高のロケーション。広い道路の中央分離帯が公園のように整備されたスペースになっていて、抜群の見晴らしで都市の風景を堪能できます。風通しもよくて夜風が気持ちいです。コンビニで再び買い出しをして、二次会開始です。
伊藤さんはチェアリングを「リビングをアウトソーシングするイメージ」と解説します。
「外で酒を飲んだり家のようにくつろぐなんて、だらしないと思う人もいるかもしれないけど、マナーを守りさえすれば、自由に寛いでもOKという寛容な社会になってほしいなと思ってます」
チェアリングの基本精神はエンジョイ&リラックスですが、伊藤さんはさらに別の魅力も感じているといいます。
「何をするにしてもお金を払ってサービスを享受するのが当たり前の世の中ですよね。でもチェアリングでは公共の何でもない場所にイスを置くことで、個人の時間や空間を主体的に作っていくような感覚があります。その感覚を掴めばもっと豊かに生きていけるんじゃないかな」
言われてみれば、ただイスを置き、座るだけでその場が自分のものになったような気分になりました。イスひとつでここまで人がマジックにかかることができるとは。子どもの頃に秘密基地を作るようなワクワク感が蘇ってくるようでした。
<取材・文・撮影/ツマミ具依>