無申告のウーバー収入が標的に!政府が狙う「消費税15%と徴税強化」という地獄
国税調査官にとっては“オイシイ案件”
今後、同制度を利用した情報照会が行われ、無申告の人の元に税務調査が入り、一網打尽にされることも考えられるのだ。税務調査といえば、これまで巨額の収益を上げている大企業の話で、小遣い稼ぎの副業サラリーマンにとっては縁遠い話だったはずだ。
同じく元国税調査官で税理士の安永淳晴氏の解説はそうしたイメージを打ち砕く。
「国家公務員である国税調査官にとって、人事評価制度は仕事のモチベーションのひとつです。では、税務調査の成果はどのように評価されるかというと、まずは不正発見の件数。つまり重加算税の賦課件数です。さらに、同じ1件でも、より多くの増差税額が見込まれる金額の大きな案件のほうが、調査官のモチベーションは高いといえる。
しかし、ウーバーイーツのように事業者への情報照会によって、1件の規模は小さくても複数の不正をあぶり出すことができるとしたら、携わった調査官はその件数だけでかなりのスコアを獲得することができる。言ってみれば“オイシイ案件”なのです」
仮想通貨関連の不正にも目を光らせてくる
副業だけではない。税理士法人ベリーベストの代表税理士・岸健一氏はこう警告する。
「今年上半期はビットコインをはじめとする仮想通貨が大きく値上がりし、サラリーマン投資家の中にも大きな利益を上げた人は多いはずですが、申告しない人も多いでしょう。しかし、仮想通貨の取引業者は金融庁に登録しているので、誰がいくら儲かったかは完全に把握されている。
仮想通貨の売却益は総合課税で所得税、住民税など合わせ最高50%を超える税率が課せられ、案件としての規模も大きくなりやすい。昨年は感染防止の観点から新規調査の着手はほとんどなかったが、今年になって動き始めており、仮想通貨関連の不正にも目を光らせてくると思われます」
実際、国税庁の「令和元事務年度」(2019年7月~2020年6月)によれば、所得税の税務調査はコロナ禍の影響で前年度に比べて約3割減になっている。滞っていた会社員への税務調査がコロナ後に一気に動きだす可能性もあるのだ。前出の松嶋氏も話す。
「昨年に持続化給付金やコロナ関連の各種助成金を受けた副業会社員もいると思いますが、国税は今後、経産省をはじめ所管の省庁に受給した事業者の情報を照会していく可能性もあり、無申告者はすぐにあぶり出されます」