30代、最年少で上場した社長が「キャリアアップを目指す必要はない」と語るワケ
必ずしもキャリアアップを目指す必要はない
昨今はコロナ禍によって、先行き不透明な社会情勢が続いている。旧来とは一線を画す、オンライン前提のビジネス慣習が常態化しつつある状況のなか、若手ビジネスパーソンがキャリアを積んでいくために必要なことは何なのか。
「個人差はあるものの、大事なことは成し遂げたいゴールを決め、達成までの道筋を逆算することだと思います。ただ、ゴールを目指す過程で、必ず理想とのギャップが生じるわけですが、それをネガティブに捉えるのではなく、ゴールに近づくためのヒントやチャンスと捉えることで建設的な解決策が見つかる可能性が高まると思います。
それからゴールを目指す際は、努力の仕方を創意工夫することがとても大事です。また『どこの土俵でやるか、努力する対象は何か』を理解しておくことも必要です。どんなに努力しても、報われないフィールドであればいつまでも結果に恵まれないので、時には方向転換する決断も大事になってきます」
また、コロナ禍が生じたことで、「やみくもにキャリアを積む時代」から「どう生きたいかを考える個の時代」へとシフトしてきているという。
「ひと昔前なら、大企業に入って出世を目指したり、キャリアアップのためにビジネススキルを磨いたりと、比較競争のなかで生きるのが一般的でした。でも今の時代は、『そもそもキャリアを積んで東京で勝負し続ける必要があるかどうか』を一考することも何らおかしくはないと思います。地方へ移住し、自給自足しながら生計を立てる道もありますし、必ずしもキャリア武装する必要もないわけです」
新しい「あたりまえ」を作る発想から
「一番大切なことは『何をやっているときが幸せを得られるか』であり、どう自分の人生を生きたいかに帰結します。キャリアを考える上で、まずは自分の最適な居場所を考え、幸せを感じられるような環境をつくっていくことを意識してみるといいのではないでしょうか」
これからも村上氏は、アフターコロナを見据えながら、新しい「あたりまえ」を発想し、世の中を変えていく事業を展開していくという。最後に今後の展望について聞いた。
「直近では新しいマッチングアプリのあり方を提案する『knew』という新規事業を始めました。“マッチングアプリ疲れ”が叫ばれるなか、絞り込みをするような切り捨て思考の検索型ではなく、まるで親友から紹介されるような提案型のサービスになっています。既存のアプリではどうしても、行動量が多い人が成就する構図でしたが、そうではない新しい『しっくりくる出会い』を提供できるようにサービスを進化させていこうと思います」
驚異的なスピードで会社を上場させた村上氏の考え方や仕事に対する取り組み方は、とても参考になるのではないだろうか。
<取材・文・撮影/古田島大介>