30代、最年少で上場した社長が「キャリアアップを目指す必要はない」と語るワケ
昨年から続くコロナ禍は社会を一変させた。ステイホームやテレワークが当たり前となり、あらゆる業界の商慣習を根本から見直す動きが起きている。先が読めない社会情勢のなか、将来を担う20代の若手ビジネスパーソンは、何を指針にしてキャリアを築いていけばいいのだろうか。
19歳で起業し、わずか6年で東証一部上場を果たした株式会社リブセンスの代表取締役社長を務める村上太一氏(34歳、@m_tai1)に、起業家人生を歩んできた理由や、激動の社会のなかで求められる生き抜く術について話を聞いた。
小学校から起業家を目指していた
村上氏は両祖父が経営者だったこともあり、小学生時代から起業家になると考えていたそうだ。
「両祖父が経営者で、その生き生きとした仕事ぶりを見て憧れ、物心ついたときから『将来は起業したい』と考えていました。サッカー好きの少年がプロのサッカー選手になる道を決めるのと同じような感覚です。また、幼いころから『人は何のために生きるのか』と考えたり、自分がしたことを多くの人に喜んでもらえることを、いつも嬉しく思ったりしました。
そこから『生きる上で幸せや喜びを感じるタイミングは何なのか』『生きる意味とは幸せになること。幸せになるとは人を幸せにすること』と考えるようになり、この想いを実現するためには会社を経営することが、自身のできうる選択肢の中で、最も良いのではないかと考えるようになりました。今の社名である『リブセンス(生きる意味)』はそんな幼い頃の自分への問いかけが由来になっています」
アルバイト探しから得たアイデア
そんな村上氏だが、高校生の時にアルバイト探しに不便さを感じたのがきっかけで、起業のアイデアが浮かんだという。
「当時はタウンワークやanなど、求人雑誌が全盛の時代でした。私自身、アルバイトを探す際に疑問に思ったのは、求人雑誌には載っていないアルバイト情報がお店の張り紙に書かれていること。つまり、アルバイトを募集したいのに求人雑誌への掲載にはお金がかかるので、張り紙で募集している状況だったんです。ここに着目し、掲載料無料で求人を出せる仕組みを思いついたんですね」
そのアイデアをブラッシュアップし、進学先である早稲田大学のビジネスコンテストに挑戦。見事優勝を果たしたことから、村上氏は大学1年の19歳で起業を決意し、学生起業家としての道を選んだのだ。