世界遺産は増えすぎか?奄美大島、縄文遺跡群の登録に見る、その功罪
世界遺産を学ぶことが視点の相対化に
最後に、宮澤氏におすすめの世界遺産を聞いてみた。
「フランスのブルゴーニュ地方にある『ヴェズレーの教会と丘』です。有名とは決して言えない小さな町ですが、この場所にある教会はロマネスク建築の傑作と言われています。私が訪れた際は宿が空いていなく、宿泊を諦めていたのですが、親切な方が自分の家に泊めてくれました。
この町はサンティアゴ・デ・コンポステーラに続く巡礼路の出発の地で、古くから巡礼者が訪れていたため、そういったホスピタリティが自然と身についていたのかなと感じます。やっぱり、嬉しいことがあるとその街を好きになるので、そういった意味で、この場所はおすすめですね」
宮澤氏曰く、世界遺産を学ぶことが、視点の相対化につながるという。今は新型コロナウイルスの影響で、旅行に気軽に行けない世の中になってはいるが、おうち時間を利用し、世界遺産についての見解を深めることで、いつかまた旅行が出来るような世の中になった時、新たな発見が得られるかもしれない。
<取材・文・撮影/ヤマタケ>
【宮澤 光】
NPO法人 世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院国際広報メディア研究科博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。國學院大学北海道短期大学部兼任講師を経て、2008年より現職。早稲田大学、東洋大学、跡見学園女子大学非常勤講師