手柄を横取したお礼は「スタバのラテ」だけ…悪質な先輩社員に天誅が
先輩のプレゼンは成功したかに見えたが…
そして、迎えたプレゼン当日。この日は8本のプレゼン案がそれぞれ担当者によって説明され、質疑応答を経て最も評価された1本が本社での最終プレゼン会議にかけられるという流れだったとか。先輩はさも自分の考えのようにプレゼン案を披露し、会議に出席した支社の幹部たちの反応も悪くなかったといいます。
「部長や副支社長から鋭い質問が飛びましたが、質疑応答集に入れていた内容だったので先輩は焦った様子も見せず、うまく切り抜けていました。先輩はこれを自分ひとりの評価にしようとしているのはわかっていましたが、この後に待っている展開を想像しながらちょっとワクワクしていました」
プレゼン発表者は最後に協力してくれた同僚の名前を挙げる者もいましたが、先輩が川崎さんの名前を口にすることはなかったとのこと。ドヤ顔で自分の席に戻ろうとする先輩に対し、彼らの直属の上司である女性課長が「川崎さんにも手伝ってもらったと聞きましたが?」と突然尋ねたのです。
上司の監視の目が厳しくなった
「先輩にとっては想定外だったんでしょうね。あんなに焦った表情、初めて見ました。それで慌てて『か、川崎さん、ありがとうございました』と言ってました」
実は、上司は川崎さんが連日遅くまでオフィスに残っているのを同じフロアの社員たちは知っていたのです。なかにはかつて彼と同じ部署だった者もおり、その人が上司に報告。先輩が自分でやるべきプレゼン案を代わりに行っている実態が知られてしまいます。
「プレゼン案はもう少しで完成という段階でしたし、とりあえず仕上げたいという旨を伝えました。それで課長も気を利かして、プレゼン発表の場で、あの発言をしたのだと思います」
なお、このときのプレゼン案は次点の評価で、川崎さんの査定にも反映。一方、先輩に対しては上司からの目が厳しくなり、以前のように無理やり仕事を頼まれることもなくなったそうです。
「自分が直接手を下したわけじゃないですが、周りの方たちのおかげで働きやすくなりました(笑)」
どこもこんなふうに自分の働きぶりをしっかり見てくれている職場だったらいいんですけどね。
<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>
特集[令和のスカッとした話]