業界の常識を作った「くら寿司」取締役が語る“最大のライバル”との闘い
遊び心のある“体験”を創出する
また、老若男女問わず、幅広い世代に愛されるため、くら寿司では「寿司を食べる体験そのものを楽しんでもらいたい」という考えを大事にしているという。
「くら寿司を特徴づける代表例として『ビッくらポン!』が知られていますが、実はもともと省力化を目的とした『皿カウンター水回収システム』しかありませんでした。このシステムも、女性のお客様の『食べた皿を積み上げておくのが恥ずかしい』という声を受けて、専用の回収口に投入し、自動で皿の枚数を計算できるような仕組みでした」
「でもいざ導入してみると、意外にも子供の反応が良かった。そんな姿を見た創業者の田中(邦彦)が『もっと遊び心のある演出を取り入れたい』とアイデアを出したことが、『ビッくらポン!』の誕生に繋がっています」
タッチパネルでの注文方式も元祖
さらに、今では当たり前となったタッチパネルでの注文方式も、2002年にくら寿司が初めて店舗へ導入したのが契機となっている。
「以前は、お客様がインターホンで厨房とやりとりしてオーダーする注文方式でしたが、聞き間違えによるオーダーミスや、他のお客様が先に皿を取ってしまうクレームが多かった。お客様の満足度を高め、人為的なミスをなくすためにも、タッチパネルのオーダー方法を開発しました。当時は画期的なシステムでしたが、他の回転寿司チェーンも取り入れるようになったことで、業界の常識へと変わりました」
こうしてくら寿司は、業界を牽引する回転寿司チェーンとして成長を遂げ、今では国内外合わせて約550店舗を構えるほどになったのだ。