“こども店長”から10年…28歳女性ラーメン店主「汁なし担々麺を世界に広げたい」
行列のきっかけは、有名ラーメンブロガーの口コミ
オープン当初は、いまのような行列店になるとは考えてもいなかったという友紀乃さん。
「最初は、友だちや知り合いの方が食べに来てくれればいいなと思っていました。でも、ある日、メニューを次から次へと食べていくお客さまがいたんです。その方が来た次の日、急に行列ができたんですよね。どうやらその方が有名なラーメンブロガーさんだったみたいで、ブログにお店のことを書いてくれたんです」
そこから口コミで一気に評判が広がり、客が殺到。オープンからわずか3か月、期せずして行列店の仲間入りを果たした。「何が起きたのかわからなかった」というほど突然の出来事に、てんてこまいだったそうだ。
「当時は母と2人で切り盛りしていたのですが、最初はラーメンをたくさん作るだけで精いっぱいでした。お客さまの顔を見たり、喋ったりすることはできなかったですね。ラーメンを出すだけで必死でした」
しかし、忙しさの合間を縫って日々オペレーションを学んでいると、次第に楽しさを感じるようになったという。オープンから半年も経つと、友紀乃さん1人で切り盛りできるようになっていた。そしていつしか、店の運営やラーメンの開発にのめり込んでいく。
休みたいと思ったことはない
とはいえ、当時はまだ10代。“遊びたい盛り”の年頃だ。毎日朝から晩までラーメンをつくり続ける中で、仕事に嫌気が差すことはなかったのだろうか?
「行列への対応で足も腰もボロボロになっても、休みたいと思ったことはないです。若いときは、仕事でヘトヘトになったあとに友だちと遊んだりしていました(笑)。我慢せずに、やりたいことをやれていましたね」
一方で、周りの評価と自己評価のギャップには、時に違和感を覚えることもあったという。
「当時は高校を卒業したばかりで、“女子高生店長”みたいに取り上げられて。周りから『すごいね』と言われたりもしたんですけど、自分では『何もすごくないのに』と思っていたので、そのギャップはありましたね。何か申し訳ない気持ちでした」
そんな友紀乃さんの思いとは裏腹に、周囲の評価は日ごとに増していった。メディアの報道がひと段落したあとも行列が途絶えることはなく、気付けば東京・神奈川に計4店舗を構える正真正銘の人気店へと成長していた。