6月は2200社以上の株主総会ラッシュ。“プロ”注目の株主総会10選
投資家参加型のイベントといえば株主総会。なかでも6月は2200社以上が総会を開く月。6月29日の集中日には444社が総会を開く予定だ。昨年に続くコロナ下の総会はどう変わったのか?
総会ウォッチャーとして知られるすずき氏が話す。
「オンライン配信を導入する企業が増える一方、コロナ下で会場を押さえにくくなった影響で、本社で総会を開く会社が増えたのはウォッチャーにとっては魅力的。手土産を廃止する企業が増えて土産集めを趣味にする株主はいなくなったため、総会“ガチ勢”の出席が多く、鋭い質問が飛ぶようになったのが昨年以降の総会の傾向」
では、今年注目の総会とは?(※情報は6/22時点、すでに終了しているものもあります)
コロナ下は“ガチ勢”の質問に要注目?
■ 東芝(6/25開催):2020年総会の不公正発覚で大炎上必至!?
「一番の注目株は東芝」
こう話すのは兜町関係者。総会直前の13日には突如、会社側の取締役選任議案にあった2人の取締役が退任し、新たな取締役が選任されると決まるなど事態が紛糾している。
「3月の臨時総会で筆頭株主のファンドによる『第三者委員会での調査』提案が可決され、その調査結果が6月10日に公開されましたが、内容が衝撃的。経産省が介入して大株主に『議決権を行使しないように』と圧力をかけていたことが発覚。東芝側は監査委員会の調査で『問題はなかった』と結論づけていたのに、それが覆ったかたち。そのため、監査委メンバーの2人が取締役選任議案から急遽外される格好となりました」
前出のすずき氏もこう話す。
「今回の総会は株主限定でライブ配信される予定ですが、10日に公表された報告書を見ればわかるように、今回は東芝だけでなく経産省や菅首相(調査時は官房長官)も関わる社会全体に影響を及ぼす問題。一般公開して説明責任を果たすべき」
■ パーソルHD(6/22開催):コロナ接触アプリで1200万円返納問題
同じく不祥事で注目を浴びたのがパーソル。グループ会社が「COCOA」の開発を厚労省から3億9000万円で受注。だが、不具合が放置されていたことが発覚して1200万円を自主返納した。
「開発を下請けに丸投げしているので、返納したのは“中抜き分”の半額で利益はしっかり確保しているのですが、公官庁案件の受託の在り方について指摘が及ぶ可能性がある」(すずき氏)
疑惑の東北新社は総会集中日に開催
■ 東北新社(6/29開催):菅首相長男による総務省接待疑惑で質問殺到?
続く注目株は、菅首相長男の総務省接待疑惑に揺れる東北新社。
「総会直前に、創立60周年記念増配を発表しましたが、リリースをよく読むと、実際には『お詫び増配』。事実上の“口封じ増配”は前代未聞」(兜町関係者)
外資規制に抵触し、衛星放送事業で一部免許が停止される騒動にも発展したが、集中日に開催されることから、総会は意外やシャンシャンに終わる可能性も。
■ ソフトバンクG(6/23開催):開かれた総会の元祖孫独演会が注目の的
一方、絶好調企業で総会の注目度が増しているのはソフトバンクG。2021年3月期は日本企業で最高の約5兆円もの利益を叩き出した。
「昨年は1.3兆円もの営業損失を出して『孫さん、顔が死んでます』なんて株主質問もあったのですが、いまだ個人投資家の人気は高い。コロナ以前から総会をオンライン公開するなど、情報公開に積極的。例年、孫さんの独演会になるのですが、好業績に気をよくした孫さんの講演を聞きに多くの株主が集まるでしょう」(すずき氏)
■ KADOKAWA(6/22開催):夏野新社長就任&注目スポットで話題
同じく名物社長で人気を博しそうなのが、KADOKAWA。
「例年、目白のホテル椿山荘で総会を開いていましたが、今年はKADOKAWAが展開するポップカルチャーの発信基地『ところざわサクラタウン』での開催。昨年の紅白ではYOASOBIが『夜に駆ける』を歌った場所でもあります。そんな注目スポットに足を運べて、新社長の夏野剛さんの話も聞けるとのことで、個人投資家の注目度が高い」(同)