ワタミで「ワクチン接種2回でビール無料」キャンペーン。壊滅的な売上の打開策となるか
コロナ禍で宅食が主力事業に
そしてコロナ感染拡大と重なる2021年期は大幅な減収減益です。決算短信をみると、売上高609億円(-33.1%)、営業利益-97.2億円、最終利益-115.9億円となっています・特に壊滅的なのは国内外食事業で、事業単独の売上高は前期の470億円から171億円と3分の1にまで減少しました。
一方で宅食事業は外出自粛が影響して前期の345億円から367億円へと伸びており、宅食事業が主力事業へと逆転しました。仮にワタミが外食事業のみを展開していたら恐ろしい結果となっていたはずです。
財務の健全性に関してですが、2020年と比較して現預金は159億円⇒204億円と増やした一方、長期借入金も46億円⇒181億円と増えています。金融機関から何とか資金をかき集めていることがわかります。この資金を元にすれば、人件費や家賃など売上が低くても圧し掛かってくる固定費をまかなえるため短期では問題ありませんが、コロナ後に返済しなければなりません。
焼肉店への転換に希望をかける
ワタミの株価は低迷し続けています。20年ほど前には4000~5000円台を推移していましたが、2005年以降は2000円以下が続き、コロナショックによって2020年4月には760円台まで急落。その後は多少は回復しましたが、現在は1000円台を前後するばかりです。
今後はアフターコロナを見据え、焼肉店やテイクアウト中心の唐揚げ店を展開するとしています。特に居酒屋の3分の1にあたる約120店舗を「焼肉の和民」などの焼肉店に置き替える方針で、長期では1000店舗以上も視野に入れているようです。
中食が定着した今、コロナ禍が収束した後も居酒屋業界が以前の水準に回復するかは未知数であり、同社は焼肉店に活路を見出そうとしています。また、唐揚げ店や焼肉店は人件費や調理費が少ない分、飲食店の中でも利益率が高い業種であるため、成功すればワタミの低利益率体質を変えられるかもしれません。