新卒で入った会社を半年で退職。ネオ無職の「酒テロ動画」が支持される訳
対人関係ほど面倒なことはない
――YouTubeで気をつけていることとかありますか?
酒村:美味しさを伝えるときに、常に別のもので表せないかと考えています。「チーズがとろとろ溶けていい香りが〜」とかじゃなくて、アニメとかキャラとか俳優さんとかで、いかに例えるかを楽しみながら考えています。
――それは撮る前に考えているのですか?
酒村:撮ってる時には考えずに、撮り終わった素材を並べて、音を入れるときに書き始めるって感じです。
――編集も自分でやられてますよね?
酒村:はい、大変です。単純作業なので、イヤになっちゃうんですが……。文章を書いたりなどのクリエイティブなことだけしていたいですね。
――編集が大変となると、誰かに頼むのもいいのではないですか?
酒村:誰かしらにお願いはしたいんですが、揉め事をおこしたくないっていうか(苦笑)。対人関係ほど面倒なものはないので、自分でやったほうが楽かな。
――他にYouTubeでのこだわりはありますか?
酒村:あくまでも私はYouTuberとは名乗ってなくて、どちらかといえばクリエイター、ライターなので、文章に力を入れています。文章では、あまりにもコアな表現はしないように心がけています。私が知っていて当たり前でも、みんなが知らない細かなものも多いなと。自分の中では伝わるなって思っても伝わらないことがたまにあるみたいなので注意しています。
夜な夜なコーヒーを飲んで執筆
――初めてのエッセイ『無職、ときどきハイボール』を出版しましたが、本を出したいと思っていましたか?
酒村:「本を出せたらすごいなあ」と夢に描いてはいたんですが、本を出せる方ってそうそういないわけで……。「いつかお姫様になれたら」くらいの感覚に思っていました(笑)。
――声がかかった時は、どう思いましたか?
酒村:こんなに早い段階で、プロのライターでもなく、学校に行っていたわけでもないのに、本当に大丈夫か。また本になるくらいの文字量は、卒論以来? いやほぼ初めてで、大変でした。
――何がいちばん大変でしたか?
酒村:スケジュールです。締め切りギリギリにやる癖があるので、執筆期間は2か月くらいあったはずだったんですが、(編集者に)ケツを叩かれてからが本番だった気がします。夜な、夜なあまり飲んだことないコーヒーを飲んだりして、短期集中で書きました。
――サイゼリヤ、鳥貴族、吉野家に果てはディズニーシーにまで一人飲みに行っている酒テロエッセイの書籍化に当たって、再度取材したりしたのですか?
酒村:過去に行った動画素材があれば辿れるので、動画を見ながら書いていきました。いつか本を出せたらいいなというほんわかとして夢物語だったのですが、編集者に文章を褒めていただき自信が持てたのでやりきりました。
<取材・文/谷亜ヒロコ>
【酒村ゆっけ、】
「一人飲み」をする様子を独特の世界観とワードセンスで解説する動画が人気を博している言葉クリエイター。初の著書『無職、ときどきハイボール』(ダイヤモンド社)が発売中
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