住宅ローン「フラット35」不正利用の実態。「かぼちゃの馬車」との意外な関係
“怪電話”でチクられて大ピンチに
郵便物の転送にどれだけ気を配っても、“密告”でバレることもあるといいます。かうぴー氏は「あくまで聞いた話なんですけど」と前置きしたうえでこう話します。
「銀行あてに『あそこの会社、なんちゃってやってますよ』と怪電話がかかってきて、事実確認を求められたらしいです。幸い? といったらあれですけど、空室だったので所有者がそのまま住むことで事なきを得たそうです。聞いた話ですが」
また、現代的? ともいえるのが、SNS投稿から発覚にいたるケースです。
「インフルエンサーと呼ばれるような人が、バズるための性なのか住宅ローンの不正利用をあたかも賢い財テクかのように投稿するケースを見ました。その後、見当外れなページを示しながら『機構も貸していいとお墨付きだ!』と強弁してたのには失笑を禁じえませんでしたが。
所在地も判明しているので、暇人がマンションの謄本と賃貸募集図面とメールボックスの表札を印刷して当局に送れば、『期限の利益の喪失』に該当して一括弁済を迫られるでしょう。手痛い有名税になるかもしれません」
どんな理由なら、自宅を貸し出せる?
もちろん正当な理由があれば、自宅を他人に貸し出すことは認められます。
「転勤の辞令や、介護のため親と同居する場合は問題ありません」(DJあかい)
「子供の受験で引っ越すとかですね。ただ属性が低いと『貸すんじゃなくて売れ!』って言われるみたいですよ。属性の低い皆さん!」(かうぴー)
DJあかい氏はインフルエンサーの情報拡散で、困る人が生まれる事態を懸念します。
「件の投稿者は自業自得だから別に構いませんが、騒動が大きくなると、さらに審査が厳しくなったり、必要書類が増えたりで、仕事が煩わしくなるのは勘弁です。自営業や零細経営者、職人やパートなど銀行の住宅ローン審査が通りにくい人にとって、フラット35は最後の砦なので、ネット芸人の遊び道具にされて、本来使うべき人が使えなくなるのは憤りを感じますね」
多くの国民が家を持てるようにと用意された好条件の融資、趣旨を理解したうえでの利用を心がけたいものです。
<構成/栗林篤>
【かうぴー】
普段は、土地から山までなんでも仲介をしています。最近はなかなかお金にならない山林散策を主に行っており、ネーミングライツを売買することで日銭を稼いでいます。Twitter:@pakopakoazarash
【DJあかい】
ちいかわ研究の傍ら、不動産業にいっちょかみするおじさん。最近は物件が買えな過ぎて一都三県を脱出したが果たして出口はあるのか?Twitter:@DJakai2