待機するだけで通報される“外国人UberEats配達員”の嘆き「不法滞在者なんかいない」
多くの配達員は正規の在留許可がある
ただ、今でも不法就労の配達員は一定数存在するようだ。今回、通訳として協力してくれたベトナム人女性にフェイスブック上の裏コミュニティを調べてもらったところ、偽造在留カードやトバシ携帯・銀行口座の販売を謳う違法業者の投稿に紛れ、「ウーバーイーツのアカウント在庫アリ」という書き込みが見つかった。
「不法就労の配達員は、警察の職質を警戒して路上での注文待ちはやらない。グループで路上に止めたバンなどの中で待機して、注文を取っている」(前出・ハノイ近郊出身の元留学生)
もちろん法律違反は容認できない。だが取材した限りでは、多くの配達員は正規の在留許可を持ったベトナム人で、SNSや一部メディアが喧伝する姿と異なるように思えた。
「ベトナム人留学生の3大バイトはホテルのベッドメイキング、深夜の食品加工工場、そして運送の仕分けです。前の2つはコロナで需要がなくなり仕事がなくなりました。運送はコロナ禍で失職、収入が低下した日本人の応募が増え、彼らが追い出される形になった。代わりに、ウーバーイーツと東京五輪の会場設営関連のバイトが受け皿になっています」(澤田氏)
コロナ禍の我々の食生活を支えていると言っても過言ではないベトナム人配達員。世間はもう少し寛容な目で彼らを見るべきだ。
本当にヤバいのは日本人の配達員だ!
外国人配達員への差別や偏見が横行するなか、「日本人配達員のほうがヤバい」と断言するのは、ウーバーイーツ配達員の経験があるフリーライターの小林ていじ氏(@kobayashiteiji)だ。
「外国人配達員はすれ違う時、フレンドリーに挨拶してくれますが、日本人には無視されることも多い。いきなり絡んでくるヤツもいます。日本人配達員は『いろんな仕事をしたけどすべて続かなかった』という人が多いですからね」
小林氏はウーバーイーツにこんな提言をする。
「注文者は配達員を評価しますが、評価が高くても特にいいことはないので良いサービスを心がけようというインセンティブにはなりません。また、配達員はランダムに選ばれるので、注文者が満足度の高い配達員を選ぶこともできない。例えば『満足度80%以上の配達員に限る』など注文者が設定できるように今後していくべきです」
平等にジャッジされる環境になれば、配達員全体のレベルが向上するはずだ。
<取材・文・撮影/奥窪優木>