2浪&4浪した東大生が感じた“現役組とのギャップ”「飲み会はなぜか別々の組に」
浪人生の孤独感や劣等感をやわらげたい
――東京大学多浪交流会として著書も出しましたが、本書に込めた思いはどんなものがありますか?
安田:多浪生でも普通に楽しくやっていけると、みんなに知ってもらいたいです。あとは、浪人って孤独感や劣等感を抱きがちだと思うんですよね。頑張っている人を直接、支えてあげることができなくても、この本を通して力になれたらいいなと思いました。
あと、大きな出版社から本を出せば全国の書店に置かれるので、地方在住の多浪生にも読んでもらえると思いました。現役生が読んでも有意義な内容になるように、勉強の仕方も載せています。
――本書のなかでも少し触れられていたかと思うのですが、東大入試と他の大学入試との決定的な違いはどんなところでしょうか。
安田:まず思考力が問われる問題があります。数学の典型問題を解くことや、単語を暗記するだけじゃなくて、それらを応用する力が求められます。自分でイチから考えて問題を解くという発展的な力が必要になります。
あとは、どの科目も単純に問題の量が多くて、時間制限が厳しい。処理能力の高さが求められます。そこは慣れるしかないです。難しい問題に頭を使って考えるという経験を積む必要があるし、ただ解答できるだけじゃなくて、短時間でこなせないと合格は難しいです。
浦:思考力や処理能力が必要なのは同意します。けれど、特に理科のような科目は、基礎を押さえないと解けない問題も多いんですよね。高校の教科書にある基礎知識が絶対に必要になる。そうした落とせないところを見極めて、確実に答えていく能力が必要なのかなと思います。
就活では多浪がアピールポイントに?
――東大多浪生の進路や就活における市場価値とはどんなものなのでしょうか。
安田:多浪も現役も関係なく東大全般にいえることですが、文系の学部だと一般企業に就職する人が多くて、理系だと研究職を目指してそのまま大学院に進む人が多いですね。
一般企業を志望した場合、企業側の評価として、浪人したことがマイナスになることはほとんどないと思います。もちろん快く思わないところもあるんでしょうけど、むしろ「1つのことに挑戦し続けてきた」「目標に向かって頑張り続けた」「浪人を通して自分を見つめ直した」とか、多浪経験を良いように捉え直すこともできます。
結局、東大というブランドは強いと思うし、浪人経験も含めて上手く自己PRにできれば、現役組と比べて不利になることはほとんどない気がします。
<取材・文/目黒川みより>