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女性社長のひらめき「ニーズを感じ取った」1万円でバンクシーのオーナーに

ビジネス

アート購入未経験者が主なユーザー

ANDART

イベントで展示されたアンディー・ウォーホル「Liz」(写真左)とバンクシー「Sale Ends (v.2)」

 現在、ANDARTには約1万人以上の会員がいる。年齢は20代~30代がメインで、IT業界や証券業界など新しい情報への感度が高い業界で働く方が多いそう

 主にメディアでの紹介や口コミからANDARTにたどり着くという。購入者の8割はアートビギナーだ。今までアートの購入に縁のなかった層がメインの利用者といえる。

「オーナー権を購入しても自宅で作品を飾れないことを気にされる方もいますが、国営の美術館にはわれわれの税金で購入した著名な作品が展示されています。それは誰もが見に行けるものです。また、最近ではNFTアート(※3)のように、現物がなくデジタル上で完結する作品も注目されています」

(※3)NFTとは「非代替性トークン」のこと。コピーが簡単なデジタルデータなどの唯一無二性を担保する仕組み。

アートの新たな持ち方を提案

「スニーカーやファッションもデジタル上でコレクションする流れが来ていますし、なにより人には物を購入し、コレクションしたい欲求があります。実際、自宅に置けなくなった作品はすべてレンタル倉庫に収納しているアートコレクターの方もいます。日本の住宅事情を考えると、そういった共同保有などでのアートとの付き合い方がスタンダードになる可能性もあるでしょう

 美術館に足を運ぶ頻度は世界的に見てもトップクラスに多い日本人。しかし、購入となるとその割合がガクンと下がるのも日本人の特徴だ。ANDARTは富裕層でなくても、気軽な気分で有名アート作品のオーナーになれるサービス。あらためて、今の時代にアートを購入することはどんな意味があるのか。

「やはりまだアートを鑑賞することと、実際に購入することでは大きな隔たりがあります。私はそれがもったいないと思います。精神的なハードルさえクリアすれば、アートは一生もののアイデンティティになる可能性があります。誰もが気軽に安心してアクセスできて、作品のオーナーになれる。そんな場所としてANDARTを利用してもらえたら嬉しいです」

<取材・文・撮影/松山タカシ>

80年代の文化(雑誌、音楽、ファッション)や現代アートが好き

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