部下を「ほめるだけ」の上司のもとで、優秀な人材が育たないワケ
ほめるだけでは、部下が成長しにくいわけ
「〇〇君、よくやった! 君は本当に凄いよ」。あなたもこんな感じで部下をほめたことがあるかもしれません。きっと部下が成果を出したとき、このようにほめたことでしょう。しかし、実はこの「ほめる」というのは意外と厄介なのです。
なぜなら、「ほめる」という行動は「相手の自律心を阻害して、褒められることに依存する人間を作り出してしまう」からです。
仕事でほめられたときは気持ちがいいでしょう。しかし、仕事とは関係のない違う目的が生まれます、それは「もう一度ほめられたい」という思考です。そうすると基準がほめられるようとする状態になり、自律性のない状態に陥ることになります。
つまり、人をほめるという行為は、相手の持っていた自律性を奪ってしまい、コントロールがしやすい人間に育ててしまうということになりかねないのです。
「ほめる」ではなく、「ねぎらう」
ほめることの正体は依存心を育てて、部下の自律性を奪うという意味で「部下のやる気をくじく」行為になるわけですが、では人はどんなときに最もやる気が湧くかというと、会社組織や属しているコミュニティへの貢献を「横から感謝された」ときです。
つまりあなたの部下が何か成果を残した時に「〇〇君、よくやった! 君は本当に凄いよ」ではなく「会社のために貢献してくれてありがとう」と述べるのが正解です。こうした感謝を何度も受け取ることによってのみ、人間は自律的に成長し、自らやる気を獲得することができるのです。
せっかくやる気になったのに、途中で失せてしまうことがあります。その理由として「なぜやるのか」という意味づけが不十分であるからです。ではなぜ意味を与える必要があるのか?
仕事をしていく上で、私たちは目標や成果の設定が不可欠です。この目標に到達する気力の継続をやる気と言い換えてもいいと思います。普通なら行動目標、または成果目標を重きにします。この2つはいまでも多くの会社がメインにして部下を育てるのに使用しているやり方です。