中華料理屋にマネキン。苦心の末に生まれたユニークな感染防止対策
当初はマネキンを見て怒り出す人も
そして、埼玉県・川口市にあるマネキンメーカー「株式会社ローザ」に飛び込み営業を行い、マネキンのレンタルを申し出ます。すると、ローザの担当者は二つ返事でOKしてくれたそうです。
「ローザの方に『非常に面白そうですね、すぐ貸しますよ』って言ってもらえて。ご厚意でマネキンのペイントまでしてもらいました。マネキンって、もともと真っ白で何も書いていないんですよ。だから上からペイントをしなければならなくて。ご厚意に甘えて、外国人風のマネキンに仕上げてもらいました」
こうして、2020年6月から麒麟菜館の座席にマネキンが置かれるように。竹峰社長は「地元の方の協力で何とか成り立っています」と話してくれました。
気になるのは、マネキンに対するお客さんの反応。なんと最初は、マネキンを見て怒り出す人もいたそうです!
「マネキンが結構リアルなので、近くまで来ないとマネキンかどうかわからないんですよね。だからお客さまが座ったときに、『うわっ! なんだよこれ、先に言ってくれ』って怒られたんですよ。それからは、入り口でマネキンがいる席と、いない席を選んでもらっています。そしたら、怒られることはなくなりました(笑)」
海外でも話題になり、AFP通信から取材も
当初はマネキンに驚くお客さんがいたものの、徐々に受け入れてもらえるように。いまではマネキンの隣に座るのを楽しんでいる人もいるそうです。
「常連さんは、自分の好きなマネキンの隣に座ったりして楽しんでいます。赤羽という土地柄、お酒を飲む常連さんが結構いるんですが、マネキンの横で飲みたがる人もいて。しかも帰りに、『これでマネキンの服を買いなさい』って言って、千円札を渡してくれることもありました。赤羽ならではですよね(笑)」
麒麟菜館の取り組みは常連のお客さんを中心に評判を呼び、次第に世間の注目を集めるようになります。その評判は国内だけにとどまらず、海外でも話題に。なんと世界3大通信社の1社、AFP通信も取材に来たそうです。
「AFP通信の方にもマネキンのことを取材してもらいました。ちなみに、食事をされたAFP通信の方には海老担々麺が好評でしたね。『ビスク(エビやカニなどを使ったフランスのスープ)みたいでうまい!』って言っていただきました」