9割が“ノンアル”だと気づかない。サントリー「レモンサワーの秘密」を直撃
「ノンアル=甘ったるいジュース」?
松田氏が着目したのはノンアルコール飲料カテゴリーの消費割合だ。圧倒的にビールテイストのほうが消費者に好まれていて、チューハイテイストのほうはあまり選ばれていない状況だった。
「ノンアルコール飲料といったら、ビールテイストを選ぶ傾向が強いんですね。というのも、チューハイテイストの味は『甘ったるくてジュースと変わらない』『パンチがなくて物足りない』などの印象を持たれることが多く、ノンアルコールチューハイは市場に根付くようなヒット商品がまだ出ていなかった。ここにポテンシャルを感じましたね。
消費者の固定観念を払拭し、市場に一石を投じられるような商品を出せば、ノンアルコール飲料に対するイメージが変わり、市場全体の底上げに繋がる。そんな気概を持って、のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコールの商品化に向けて動いたんです」
ノンアルコールチューハイの“ネガ”をなくしたい。既存のマイナスイメージを変えるには、何が足りないのか。試行錯誤する上で、行き着いたのが「レモンサワーの味をありのままに表現する」ことだった。
本格レモンサワーの再現に活路を見出す
「RTD全体の市場が拡大するなか、とりわけレモンサワー人気は著しく、当社の『こだわり酒場のレモンサワー』も非常に好調でした。また、既存のノンアルコールチューハイの商品『のんある気分』の中でも、レモンサワーテイストが1.3倍に伸びたことから、レモンサワーブームのトレンドに合わせた商品を出そうと考えたんです。
そこで、より詳細に分析を進めていくと、レモンRTDを買い求める需要は『チューハイらしいレモンの“果実感”やサワーの“爽快感”』を求めるニーズと『レモンサワーとしての本格的なお酒としての“旨さ”』を求めるニーズに二分されることがわかった。
特に伸びているのは後者の外飲み系といわれる本格レモンサワーでした。本格志向の味を求める消費者は『レモンサワーのアルコールを抜いたら、単なるレモンジュースの味になる』という、いわば『ノンアル=ジュース』のようなイメージを持っており、これを払拭する必要があった。どうしたらジュースのように甘くない、本格的なレモンサワーの味を表現できるかが肝になっていたんですね」