“ピザ御三家”で万年3位のピザハット。コロナ禍で生まれた「逆転の一手」
永遠のライバルであるドミノ・ピザ
宅配ピザ業界は、グローバルでも大手ピザチェーンによる勢力争いは熾烈を極めている。特に「ドミノ・ピザ vs ピザハット」の構図は世界中で展開されており、まさに永遠のライバル関係と言っても過言ではないだろう。
「日本でもドミノ・ピザさんはベンチマークしている存在。どんなプロモーションや新商品を出すのかの動向を追うように心がけていますね。5年ほど前からデジタルを活用したマーケティングにも積極的なので、ピザハットも水をあけられないよう、公式アプリによるオンライン完結の注文システムやデジタル広告などに注力しています」
他方、小田氏は「どんどん出店攻勢をかけるドミノ・ピザさんの潤沢な資金力には劣らざるを得ない」と口を開く。
「ドミノ・ピザさんの店舗は、ここ10年で日本全国に400店舗くらい増えていて、出店攻勢がすごい。日本市場でのベストプラクティスのもと、うまく横展開していると感じています。いい立地、レイアウト、サービスの速さ、デジタル化、エンタメ性などはドミノ・ピザさんが上回っているかもしれません」
伸び悩んだKFC傘下時代
一方でピザハットは日本KFC傘下になって以降、長い間業績が振るわない状況だった。同社で20年間にわたり、キャリアを築いてきた小田氏は当時の状況をこう振り返る。
「日本KFC時代は、KFC本体の上層部がピザハットの経営を担うことが多かった。しかし、『チラシを大量に配れ』と言われた時もあれば、『無駄なチラシは減らせ』とポスティングを抑える指令が出たり……どんなに出店や新商品を開発しても結果が出ずに苦労しました」
そんな苦難のなか、2017年に日本KFCがピザハット事業を投資ファンド「エンデバー・ユナイテッド」に売却したことが、厳しい状況を打破するきっかけになったという。
「投資ファンドが入ったことで社内体制は見事に一新されました。スクラップ&ビルドが進み、状況に応じて柔軟な仕組みづくりを行えるようになった。スピード感を持ったマーケティング、プロモーション展開のもと、成長戦略を描ける企業へと変わることができました。2017年には念願の黒字化達成、そして2020年には過去最高益と、上昇気流に乗れていると手応えを感じています」