柳楽優弥が、30歳の今思うこと「恥ずかしいことも見つめ直した」
30歳の節目に振り返って思うこと
――柳楽さんご自身についても聞かせてください。去年は自身を振り返る機会が多かったと思いますが、正直、振り返れない、振り返りたくない時期もありましたか?
柳楽:ありましたよ。これまでに失敗したなと感じることもいっぱいあるし、振り返りたくなくても思い出してしまって恥ずかしくなることもたくさんあります。でも、2020年って、強制的に色々なことが中断されましたよね。そのなかで家族と過ごせたり、『やぎら本』という本も出せたり、自分を見つめ直しました。
自分が食について勉強したいんだなと発見したり、船の免許を取ったり、いろいろできましたし、これまであまり自分自身のことを考えてこなかったので、いい時間でした。
――今では『誰も知らない』を観たことのないファンや、別作品で柳楽さんを好きな人が多いですね。
柳楽:僕自身、常にアップデートしていますし、自分自身のなかで30歳を節目にできた感覚はあります。もうちょっと視野を広くというか、余裕をもって作品に向き合いたいし、普段の生活も過ごせたらいいなって。
新しいものを再構築していく勇気を
――『やぎら本』では是枝監督とも対談されています。その中で三大映画祭にもう一度行きたいと。
柳楽:それはずっと思っています。ただ、追いすぎると逃げるので、いい距離感で思っていたいです。
――まだ自分の道が見えずに迷っている、20代半ばの「bizSPA!フレッシュ」読者に何か言葉をもらえませんか?
柳楽:僕も見えてないですよ、ほんとに(笑)。昨年のコロナによるストップがあって、いま、1年ぶりに現場に入ったりしています。ニューノーマルを作り上げていくことに勇気を振り絞らなきゃいけないなって。
どうしても昔だったらこうやってたなとか、考えちゃうんですよね。でも色々変わってきているから、自分に合ったものを、また新しく構築していかないと。怖いですけど、そうした勇気は必要なのかなと思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>