「ホスト界のイチロー」が明かすシャンパンタワー誕生秘話。300万円の売上が必要で
ホストクラブ「愛本店」だけでなく、どのお店でも年間ナンバー1ホストであり、漫画『夜王』のモデル、数々の輝かしい経歴を持つ流星さん(47歳)。38歳で全事業を解散し、40歳のときに現役ホストに復帰したことも話題になった。
事業展開を含め「ホスト界のイチロー」とも称され、今でこそ歌舞伎町を代表する存在だが、ホストになったばかりのときは「親のレールに乗って生きてきた普通の大学生だった」と話す。シャンパンタワーの考案を皮切りに、成果を出し続けている流星さんはどのような姿勢で仕事に向き合ってきたのだろうか。
前回の記事では自身の経験を踏まえ若手に対してのアドバイスをもらった。今回は「結果を出すために必要な仕事術」について、話を聞いた。
シャンパンタワー誕生の経緯
流星さんがホストになったばかりのころは、今でこそ考えられないが、飲みきれないお酒は、ホストが飲んだふりをして床や花瓶に捨てられていた。売り上げに貢献したお客様が評価されるはずなのに、その思いがないがしろにされていたのだ。
好きなホストをナンバーワンにさせようと、数十本ものシャンパンを入れたお客様自身も、応援するヘルプも、担当者自身も、みんな飲み切れず疲れ果てている。その光景を見た流星さんは、「がんばって高いお酒を入れてくれたお客様に、光を当てる方法はないか」と試行錯誤するように。
「僕はホストクラブの武器は“空間”と“人”だと思っています。その2つを最大限に活用して『お客様の想いを形にする』『自宅ではできない特別感を提供する』『スポットライトを当てる』ことは何かと考え、たどりついたのが“シャンパンタワー”でした」
常に「最大限喜ばせること」を考えている
さらに女性が主役となる“結婚式”をヒントに、フラワーショップ、バルーンショップ、ケーキショップと直接交渉し、オリジナル商品を制作する契約を個人的に結んだ。
当時ナンバーワンになるには最低300万円の売上が必要。それほどの額を使ってくれたお客様にはシャンパンタワーをはじめ、お客様に合ったオリジナルのフラワーとバルーンとケーキで、シャンパンタワー全体と席を彩った。
「『白で統一されたフラワースタンドなんてお葬式をイメージする』等々、古参の方には嫌がられましたが(笑)、嬉しそうなお客様の様子を見て徐々に真似されるようになり、気がついたらどれも浸透していました。
『だからすごい!』なんて言うつもりはありません。というのも新人のときも今も、自分に特別なものはないと思っています。だからこそ『お客様を最大限喜ばせるには何ができるか』を考えて行動し続けた結果が今につながっています。
もちろん、チャレンジした案件やビジネスとして形にならなかったものもたくさんあります。しかし、どれもがあったからこそ今があり、行動こそ全て。『現状維持は衰退』の考えは、今も昔も変わりません」