「出演予定がゼロに」人気マジシャンが”コロナ禍の苦境”で抱く野望
新型コロナウイルスの影響により、エンターテイメント業界が苦境に立たされるなか、さまざまな取り組みによってショーのあり方を模索している人がいる。
笑いとマジックを織り交ぜる“笑魔術”と称した独自のスタイルを武器に国内外で活躍するマジシャン・ハマック柳田さん(@hamack809)も、その一人だ。
調理師からマジシャンに転身
もともとは地元である青森県の料亭やホテルの結婚式場で調理師として働いており、マジックに出会ったのは、23歳のときだったという。
「テレビで目にしたマジックの不思議な世界に魅了されたことがきっかけで始めてみることに。小さいころから、周囲の人々を楽しませるのが好きだったこともあり、最初は『みんなを驚かせたい』という想いが強かったと思います。有名マジシャンの映像を参考にして、空いた時間に練習を重ねる日々でした」
師匠に弟子入りすることも多い業界ながら、ハマックさんは独学でマジックをマスターした。初めてその技を披露したのは、自身が働いていた結婚式場でのパーティだった。
「当時は調理師としての仕事をしながら、パーティの時間になると衣装に着替えてステージに上がっていましたよ。初ステージのことは鮮明に覚えています。催眠術を使ったマジックをやりましたが、本当に緊張しましたね」
自身のスタイルを確立し、国外でも活躍
東北エリアのイベントで人気を博すようになってから、本業である調理師との並行しての活動に限界を覚え、マジックに専念することを決意する。そして、方言や笑いの要素を交えたオリジナリティ溢れるショースタイルを確立する。
「スプーンやフォークを曲げるときには、真剣な表情をしている方が多いですけど、自分の個性を活かすためにも僕はギャグを交えながらショーをすることにしたんです。よりお客様に楽しんでもらえるようになったと思います」
東京にも進出し、若き日の嵐や関ジャニ∞が出演していた『USO!?ジャパン』を皮切りにテレビからのオファーが多く舞い込むように。同時並行で各地のショーにも出演しており、徐々に国外にも活躍場所を広げていく。2012年にはハリウッド、2018年には上海での公演も行った。上海公演のきっかけは、あの村西とおる監督からの熱烈な誘いだった。
「村西監督から『中国でも流行りそうなショーですね』とお声がけいただいたんです。現地での会場中に鳴り響く拍手や、ショーを終えた後のスタンディングオベーションは、今でも忘れられません。本当に刺激的な経験でした」