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ギネス認定のチョコ菓子「ポッキー」誕生秘話と、日の目を見なかった味

ビジネス

時代ごとに「ポッキーのあるシーン」を提案

グリコ

歴代ポッキーのパッケージデザインの変遷

 また、発売以来、時代に合わせて何度もパッケージのリニューアルを変えてきた。槌田氏は「発売当時はパッケージが横長(横向き)のデザインでしたが、1976年のリニューアル時に現在の縦長(縦向き)のデザインに変更しました」と語る。

 また、赤箱のパッケージになったのは1998年からで、時代にあった形でポッキーの魅力が伝わるように心がけてきた。さらに時代を反映した形で、食べ方や食シーンを世の中に提案している。

「1970年代はバーのような大人の空間でウイスキーとの相性の良さを提案した『ポッキー・オン・ザ・ロック』、あるいは若い女性を中心に盛り上がった旅行ブームに合わせた『旅にポッキー!』といったライフスタイル提案型の訴求を行い、“ポッキーのある食シーンの醸成”を図ってきました」

 1990年代にコンビニが店舗数を伸ばしたときには、夏の「ココナッツポッキー」や冬の「冬のくちどけポッキー」などのシーズナル商品を展開。コンビニの陳列棚の中でポッキーを手に取ってもらえるよう、魅力的な商品づくりを行ってきたという。

緻密な商品設計にこだわっている

グリコ

1994年から発売している地域限定ポッキー。2016年に「地元とつくる、地元ポッキー」へとリニューアル

「2000年以降は商品ラインナップの多様化を図るとともに、グローバルでも通用するブランドにしていきたいと考えるようになった。そして2010年代、ポッキーチョコレート(赤箱)をブランドの中核に据え、『家族や友人同士で楽しい気分を味わいながら、一緒にポッキーのおいしさと、しあわせを分かち合う』というメッセージの“Share happiness!”が生まれたんです」

 また、旅行や出張先で見かける地域限定「地元とつくる、地元ポッキー」はお土産の定番だ。季節限定ポッキーや「ポッキー<大人の琥珀>」「ポッキー<女神のルビー>」など、実に多くのバリエーションを展開している。

グリコ

Amazonなど一部限定で購入できる「ポッキー大人の琥珀 」(写真左)と「ポッキー女神のルビー」(写真右)

 槌田氏は「味の美味しさや軽快な食感、食べて満足する最適な量などを商品設計で意識している」とし、次のように説く。

「『味』『食感』『量』を基本軸に商品設計を行っています。細かいところで言うと『1食あたりどのくらい食べるか』という点も意識しています。1袋なのか、1本なのか、途中で食べ飽きてしまわない最適なバランスの量になっているかが重要だと考えています」

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