苦境の「かっぱ寿司」に聞いた生き残り策は“回転寿司屋からの脱却”
庶民的な価格で寿司を食べられる「回転寿司」は、いまや国民的グルメ。その一方で、各社が熾烈な争いを繰り広げている。なかでも売上高首位の「スシロー」、2位の「くら寿司」、3位の「はま寿司」は“御三家”と呼ばれ、業界を盛り上げている。
そんななか、かつてはトップに君臨していた「かっぱ寿司」は第4位と、他社に水をあけられている。 今回はカッパ・クリエイト株式会社 執行役員 マーケティング本部部長の牛尾好智氏に、生き残りをかけた事業戦略や2016年からの再起をかけたリブランディング、そして今後の展望について話を聞いた。
大胆なスクラップ&ビルドを進めた
かっぱ寿司は1979年の出店以来、業界の市場拡大を牽引してきた。2014年に外食大手コロワイド傘下となるも、2016年からは他社の勢いに押され、影に追いやられていた。その状況を打破するための手段が徹底的なリブランディングだ。
中核を担う牛尾氏は“スクラップ&ビルド”と称し、「かっぱ寿司のブランドイメージを変えることに注力した」と話す。
「お客様のライフスタイルや食に求める志向は、時代とともに当然変わっています。一方で、かっぱ寿司はこの半世紀、変化できずにいた。これまでの古い企業慣習や店舗運営を“負の遺産“として引きずってしまい、『安かろう、悪かろう』というネガティブなイメージがついてしまった。まずは、良い意味で身軽になろうと考え、『マイナスをゼロにする』コストカットを行い、根本から立て直していきました」
「新しい挑戦」をする社内風土がなかった
リブランディングの一環として、ロゴのリニューアルや店舗デザインの変更、商品の見直し、プロモーションなどを実施し、5年での巻き返しに尽力したという。しかし、改革を行う中でいくつもの苦労があったそうだ。
「旧態依然の経営状態が続いていたため、『新しいことにチャレンジする』という風土がなかった。これがベンチャー精神溢れる企業であれば改革しやすいのですが、老舗上場企業ならではの“逆風”が吹くんです(笑)。出る杭は打たれるがごとく反発され、なかなか前に進まない。このような状況が多くて、最初は苦労しました」
一致団結して、新生かっぱ寿司を作るために、牛尾氏は「リブランディング=売上の向上」という認識のもと、社内全体が同じベクトルを向くように心がけたという。
「経営再建を図り、かっぱ寿司の業績を上げるという目標は誰もが揺るぎないものだった。そのため、費用対効果を考えた施策や数字ベースでの会話ができるように組織を変革しました。販促活動や商品企画など何をやるにしても場当たり的な対応になっていたのを、しっかりと計画を立てて進めるようにしました」