ゲイカップルが“代理母出産”で子どもを授かるまで「昔は結婚願望もなかった」
“サロガシー”という言葉を知っていますか? 日本ではまだ馴染みのないこの言葉は「代理母出産」を意味しています。2016年に日本人とスウェーデン人のゲイカップルがサロガシーによって男の子を授かりました。日本人のみっつん氏とスウェーデン人のリカ氏は“ふたりぱぱ”名義でブログを公開。
サロガシーのプロセスを綴り、2019年には『ふたりぱぱ ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る』(現代書館)として書籍化されています。
現在、ふたりぱぱは“息子くん”(4歳)と共にスウェーデンに在住。YouTubeチャンネル「ふたりぱぱ FutariPapa」にて、子育ての模様を発信しています。全2回にわたって送るインタビュー。前編では2人は何を思い、夫夫(ふうふ)となったのでしょうか。みっつん氏に話を聞きました。
スウェーデン人の夫とは日本で出会う
――まずは2人の馴れ初めを聞かせてください。
みっつん:知り合ったのは2008年で、夫のリカが交換留学生として日本で暮らしていました。その時点で、彼のほうは約8年間、日本にいたみたいですね。それから3年間、お付き合いして2011年に結婚しました。
結婚するきっかけとなったのは、リカの転勤です。イギリスのロンドンへ行くことが決まったんですけど、これからどうしようかという話になったときに「一緒に行こう」って。
――知り合った時点で結婚願望はあったのでしょうか。
みっつん:まったくなかったですね。結婚できるかできないか、環境によって考え方も変わってくると思うんです。僕が生まれ育った日本では同性婚が認められていません。結婚するという発想もなかったし、興味すらありませんでした。ただ、結婚という制度を利用しなくても、一生一緒にいられるパートナーが欲しいという気持ちはありました。それはリカも同様です。
両親へのカミングアウトでは、兄弟がフォロー
みっつん:今となっては結婚して本当によかったと思うんですけど、実際は海外で一緒に暮らす上での利便性を考慮して結婚という道を選んだんですよね。というのも、結婚すればビザの手続きが簡単に行えますし、公的なパートナーシップを証明することができます。
正直なところ、結婚とか伴侶のロマンチックなイメージよりかは、ずっとプラクティカル(実用的)な部分が大きい。結婚という制度を道具として考えていたというか。
――結婚となると親兄弟からの理解も必要になりますよね。セクシャリティの部分も含めて、もともと周囲の理解は得られている状況にあったのでしょうか。
みっつん:僕自身、思春期を越えたあたりから男の人が好きかも知れないという意識がありました。女性とお付き合いしている時期もあったんですけど、その時は相手が女性でも人間として好きな人なら上手くやっていける。ゲイであるという秘密を隠しつつ、墓場まで持っていけるだろうと考えていました。
世間でいう“普通”に寄せた10代を過ごしてきました。