KFCとコメダ珈琲から学ぶ「コロナでも業績を伸ばす企業」の特徴
業績を伸ばす企業に必要な要素は
森氏によると2021年も今年同様に厳しい状況に置かれることが予測される。では、どういった企業であれば生き残ることができるのだろうか。森氏は2つのポイントをあげる。
「1点目は、自社の現業に固執をせず、柔軟に事業内容、事業構造を変化させることです。リーマンショックの際もそうですが、危機に強い企業と弱い企業の差は体力もさることながら、その柔軟さです」
「柔軟さ」と言葉にするのは簡単であるが、実行するのはもちろん簡単なことではないだろう。森氏は柔軟さで成功した企業の例として「任天堂」と「ヤマト運輸」を挙げている。
「皆さんご存知の任天堂はもともとトランプや花札を作っていた企業ですが、現在は世界的なゲームメーカーであり、マリオを代表する強いコンテンツメーカーでもあります。ヤマト運輸ももともとは大手企業向けの物流サービスを展開していましたが、個人の宅急便を生み出し、大躍進しました」
今年を振り返って、どういった企業で柔軟さが見られただろうか。
デリバリーを早々と強化したケンタッキー
コロナ関連の倒産が最も多かったのは飲食業であるが、その中でもテイクアウトやデリバリーの分野を早い段階で強化した企業は比較的ダメージが少なく、なかには業績を伸ばした企業もある。
業績を伸ばした飲食店の例をひとつとして「ケンタッキーフライドチキン」があげられる。11月に公表された第2四半期決算資料によると、4月から9月の既存店売上高が前年同期比で17.9パーセント増となっている。今年度中にデリバリー実施店舗数を120店舗増加させる予定で、決算資料公表段階で前年末比で92店舗を達成し実施店舗は300を超える。
なお「ケンタッキーフライドチキン」が2018年度から2019年度でのデリバリー実施店舗の増加は28件に留まっている。計画通りに進めば2020年度は前年度の約4倍の増加となる。爆発的とも言える実施店舗の増加は「柔軟さ」が発揮されたと捉えることができるのではないだろうか。
「今後も事業が停滞する企業とそうでない企業との差は、自社の現業をどれだけ見直し、事業内容を変化させ、事業構造を見直すかにかかっています」
森氏は「柔軟さ」を発揮するためのポイントをこのように語る。この点が来年の企業の動向を握る鍵のひとつとなるだろう。